「ドラえもんがひみつ道具を一つくれたとしたら、いったいどうなるだろう」
そんな空想を、当ブログ『ドラえもんのひみつ道具を一つもらえるとしたら』では、ひみつ道具ごとにめぐらせています。
そうなると「一番欲しいひみつ道具」を決めたくなるもの。そこで独断ではあるけれど、けっこう真剣かつ現実的にランキングを考えました。
選抜対象は当ブログで紹介済みのひみつ道具です。記事の追加に合わせてランキングは変動します。
どんな夢物語をひみつ道具で実現したって、健康でなければ楽しめないし、死んだらそこで終わりです。だからといって単純に「健康を守るひみつ道具」を選ぶのはあまりにつまらない。
そこで“タイムふろしき”です。時間の流れを局所的に変える風呂敷です。赤い面を外側にしてかぶせると時間が戻ります。青い面が外側だと時間が進みます。
肉体の時間を健康だった頃まで戻せば、どんな病気も治せます。物品の時間を戻せば、家電でも家具でもなんでも直せます。
日々の生活にも役立ちます。脱いだ服に使えば、着る前のきれいな状態に戻せます。食品に使えば、消費期限をリセットできます。
そして究極の活用方法は若返りです。若くて活力に満ちた肉体を望む限り維持できます。当ブログの見解では、タイムふろしきは「脳の時間を戻さない(1)」ので、いずれは死が訪れます。けれどもそれは十分すぎる時間が経った頃でしょう。
「時間を操るひみつ道具」は、ドラえもんが未来から時を超えて現代にやって来たことで開幕する『ドラえもん』の象徴でもあるから、欲しいひみつ道具ランキングの第1位にふさわしい逸品です。
(1)作中の描写より推定。ひみつ道具で不老不死を実現する方法は「永遠の命を手に入れたい」で考察しています。
手痛いしくじりをして、「あれがああだと知っていたら、こんなことにはならなかったのに!」と悔しい思いをするのはよくある話。「失敗は成功のもと」とはいうけれど、人生の糧にならない失敗もあるのが現実です。
○か×かで答えられることなら、どんな質問にも100パーセント信用できる答えを出してくれる“○×うらない”があれば、そんな無駄な選択ミスをなくせます。
就職先を決める、物件を決める、結婚相手を決める。そんな重大な決断をする際に、知っておきたい情報を100パーセントの精度で確認できます。
身体に関して占えば、万全の健康診断となります。ガンなどの大病を手軽に、そして確実に早期発見できます。
もちろん、日々の小さな選択にも○×うらないは有用です。あらゆる場面で自分にとって価値あるものを的確に選べます。
下世話に「宇宙人は地球に飛来してるか」とか、「誰それが浮気してるか」とかいったことに白黒つけるなんてことも。
とにかく知りたいことすべてに○×うらないは答えてくれます。
超能力者になりたい――。
子供の頃、そう願いませんでしたか? “E・S・P訓練ボックス”があれば、そんな夢が実現します。
E・S・P訓練ボックスは、念力・透視・瞬間移動の超能力を会得する訓練を積めるひみつ道具です。ただし、超能力を自由自在に使いこなせるようになるまでには、毎日3時間ずつ訓練して3年かかります。
「自分自身の能力になる」という点で、ほかのひみつ道具とは決定的に異なります。漫画や映画に登場する、特殊能力を駆使して活躍する超人たち。そんな存在になれるのです。
「俺スゲー」感の否めない、子供じみた憧れかもしれません。でもそれによって得られる自己肯定感がポジティブなものであることに違いはないでしょう。
念力で自分を飛ばせば“タケコプター”、透視は“透視メガネ”、瞬間移動は“どこでもドア”、といった具合に各種のひみつ道具と同様の効果が得られるのも大きい。これは「ひみつ道具を一つだけもらえる」という条件下では特に有利です。
「3年の訓練を要する」というデメリットは、「超能力者になれる」というメリットの前ではささいな問題です。超能力という格別な技能の習得期間として考えれば、むしろ短いとすらといえます。
ピラミッドはどうやって建造したのか、邪馬台国はどこにあったのか、ティラノサウルスに羽毛は生えているのかいないのか、それからそれから……。
世界には知りたいことが多すぎる。あらゆる時代、あらゆる場所の映像が見れる“タイムテレビ”なら、そのすべての答えが得られます。
タイムテレビが見せてくれるのは、地球の歴史、そのすべて。憶測も誇張もない、究極のドキュメンタリーです。
宇宙の秘密に手が届くかもしれない可能性を秘めています。それでいて、こちらから一方的に観測するだけだから、期せずして世界に影響を与えてしまったり、対象に感知される心配もありません。
問題は未来も見れてしまうこと。それは人の領域を超えています。『ドラえもん』の世界においては、未来は変えられるものの、予定された未来へ戻そうとする「歴史の修正力」が働く上に、「大局は変わらない」ことを忘れてはいけません。
努力が報われないこともあるし、正直者が馬鹿を見ることもある。それがこの世の中です。そういった自力ではどうにもならない因子が自分にとって有利か不利のどちらに転ぶかを分けるものを人は「運」と呼びます。
もしもそんな運を味方につけることができたなら。というわけで、手相を書き替えて運勢を操る“かならずあたる手相セット”がランクインです。
これでのび太の手相を書き替えたドラえもんはこう言いました。
「きみは出世して、金持ちになって、長生きするよ」
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第2巻「かならずあたる手相セット」より
これから待ち受ける天命を好転させられるなんて、まさに夢のようなひみつ道具です。
手を抜いて運任せにしたときより、むしろ力を尽くしたときこそ運勢が気になるものです。努力が水泡に帰するような不運と無縁になれば、力を尽くすことの価値が劇的に向上します。
墨で描いたような手相の見栄えが悪いデメリットなんて、幸運が人生をサポートしてくれるメリットの前ではさしたる問題になりません。
「世の中お金がすべて」とは言わないけれど、お金はあるに越したことはない。というわけで、この手のランキングに“フエール銀行”は欠かせません。
フエール銀行は、未来の銀行の携帯型ATMです。なんと1時間ごとに10%の利息がつきます。つまり、とんでもない勢いで預金が膨れ上がります。
ただしフエール銀行の利息は我々の暮らす現代社会においては「出所不明の怪しいお金」です。本来なら得られるはずがない多額のお金を散財すれば、脱税や犯罪を疑われるでしょう。
お上に目をつけられないように、身の丈に合った出費に収める節度が求められます。まあそれでも十分に贅沢できます。
お金の多寡が人生の充実感を左右することは否定しがたい事実です。「なんだかんだいってお金はやっぱり欲しいよね」という身も蓋もないランクインです。
テクノロジーが日々進化を遂げていく様子を見ると、自分の一生より先の進化も知りたくなります。そんな夢を実現するひみつ道具が“進化退化放射線源”です。
進化退化放射線源は、あらゆるものを進化させたり退化させたりする波動を出す光線銃です。
「ひみつ道具」とは要するに未来の道具です。つまり! 進化させた道具はすなわちひみつ道具だといっても過言ではありません。
どのような進化を遂げたとしても、間違いなく現状より優れものになるでしょう。ほんのすこし進化させて、型落ちの製品を新型にするだけだって十分すぎるほど実用的です。
退化させるのもまた一興です。時代物が高値で取引されるのはよくあること。身近なものがお宝に化けるかもしれません。
ドラえもんの“グルメテーブルかけ”は、注文した料理がなんでも出てくるテーブル掛けです。すくなくとも原作漫画でオープンにされた情報に基づく限りでは、対価をいっさい必要とせずに、無尽蔵に料理を出せます。
このメリットは単純明快にして最大級。いくらドラえもんのひみつ道具にしたって、あまりに都合がよすぎます。「チート級」なんてレベルをはるかに超えた機能です。
充実した食事は心の余裕にもつながります。いわゆる「衣食足りて礼節を知る」です。グルメテーブルかけは食事にとどまらず、充実した人生の足掛かりになり得ます。
ひみつ道具がもらえるという夢物語にしては生活感のある現実的な選択だけれど、これほどの実用性があればそれもやむなし、というわけでランクインです。
ちなみに食糧難を解決するには力不足です。それについては下記リンク先の個別ページを参照してください。
“四次元ポケット”は、どこまでも広がる四次元空間に物をしまえるポケットです。衣服に自由に付け外しできる機能や、頭の中のイメージを読み取って、手に取る物を自動的に選別してくれる機能も備わっています。
取り出せるのはあらかじめ中に入れておいた物だけです。ひみつ道具が湧いて出てきたりはしません。「ひみつ道具を一つだけ」という条件でもらった場合は、残念ながら中身は空っぽです。
空っぽの四次元ポケットには用がない? いやいや、これほど利便性に優れた収納用品がほかにあるでしょうか。
あれもこれも片っ端からしまえます。しかもクローゼットに押し込むのとは、わけが違う。どれだけ大量に放り込んでも、四次元ポケットなら自動選別機能で希望の物をすぐ取り出せます。
ホコリ対策になるのもうれしいポイント。とにかく収納に関しては文句のつけようがありません。まさしく究極の収納用品です。
おまけに衣服に付ければドラえもんのように外出時も常に手ぶらでオッケー。ランキングにふさわしい便利なひみつ道具です。
さて、「“スペアポケット”なら、ドラえもんの四次元ポケットにつながっているから、ひみつ道具をすべて手に入れられる」という声もあります。
当ブログでは「スペアポケットのリンクは時間を超えないから、我々の暮らすこの時代にドラえもんがいないと四次元空間につながらない」と仮定しています。
「一つだけもらえる」という条件でひみつ道具をランクづけするなら、初めに選択肢に上がるのは万能系です。問題は今いるこの世界を改変してしまうおそれがあること。そこで“もしもボックス”です。
大長編『のび太の魔界大冒険』におけるドラえもんとドラミちゃんによる説明によると、もしもボックスは「パラレルワールドへの入口」だと推定されます。
希望する条件をこれの受話器に告げると、ベルが鳴り響き、そのとおりのパラレルワールドに移ります。取り消しを告げると、元の世界へ戻ります。
元の世界はそのままに、思いどおりの世界をパラレルワールドとして実現できます。それは「自分の、自分による、自分のための世界」です。そこで過ごす時間は、究極の経験となるでしょう。
現在の医学では治せない病気になっても、もしもボックスがあれば大丈夫。その病気の治療法が確立されたパラレルワールドへ行けば難なく治せます。
もしもボックスに「藤子・F・不二雄先生が生きていたら」と告げれば、『ドラえもん』の新作だって読めるのです。――でも、そんなことが許されるはずがありません。
パラレルワールドという形であっても、やはり万能系のひみつ道具は人の手に余るのではないでしょうか。というわけでこの控えめな順位です。
命あっての物種だから健康を守れるものにしようか、いや今の楽しさを優先しようか、それともそれとも……。
そのひみつ道具を手にすることで生じる責任も気になるし、考え出すときりがありません。
結局、一番欲しいひみつ道具は十人十色。そんなこんなで空想が際限なく広がる『ドラえもん』は、やっぱり名作なのでした。
順位変動でトップ10落ちしたものや、「あれが入ってない!」という声が上がりそうな人気のものをフォローした「欲しいひみつ道具ランキング番外編」も書いてます。