漫画『ドラえもん』の魅力といえば、ドラえもんとのび太の強い絆(きずな)だったり、大人になってから読み返しても色あせないブラックユーモアだったり、読者それぞれの思い入れがあることでしょう。
でもやっぱり一番のつかみどころはひみつ道具です。実用的なものから奇想天外なものまで、遊び心にあふれたひみつ道具に「こんなことができたらいいなあ」と胸を躍らされます。
そんなひみつ道具を網羅した公式ガイドブックが『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』です。
『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』は、その名のとおり、ひみつ道具の事典です。判形(本の大きさ)は、てんとう虫コミックスより一回り大きいB6判。3cmの分厚さで496ページもあります。
イラストと説明文、そして1コマ漫画でそれぞれのひみつ道具を紹介しています。その数なんと約1,600個。特大ボリュームで正に「大事典」です。
そのほかに、藤子・F・不二雄先生による序文と漫画『ドラえもん』の本編を6作品、編集者による豆知識的なコラムが収録されています。
『ドラえもん』の単行本は全巻揃えているけれど、それとは別に「ひみつ道具を一挙に見られる本」が欲しくなったのが購入のきっかけです。はたして『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』は要望どおりの本でした。
1ページに最大4個、ひみつ道具の解説がみっちり詰まってます。なにせ約1,600個も掲載されてるから、ちょっとやそっとじゃ読み切れません。最初から順に読み進めるんじゃなくて、思うままページを開いて眺める読書スタイルが向いています。
「あった!あった!」と懐かしんだり、新しい発見があったりで、なにかと楽しい。細かい理屈を忘れて頭を一度空にしてリセットできる、この本自体がある意味ひみつ道具です。
基本『ドラえもん』は児童漫画だけど、決して子供だましなんかじゃない、 大人も楽しめる名作です。とはいえやっぱり主な読者層である子供の反応が気になるところ。子供にプレゼントした人のレビューがネットストアにはたくさんあります。
ボロボロになるまで『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』を読み込むお子さんが多いみたい。ひみつ道具の魅力は時代を越えているようでうれしい限りです。
不満点は「ひみつ道具の掲載順」です。ざっくり5タイプに分けられていて、そのタイプごとに五十音順に並んでいます。普通に通しで五十音順になっていれば、道具名から探しやすいし、事典らしさが更に増すのに!
けどまあ巻末に五十音順の索引が別途掲載されているし、この雑多な雰囲気が本書のわくわく感を演出していることを踏まえると、取るに足らない問題かもしれません。
ひみつ道具の事典は昔から出版されていて、タイトルを改めながら加筆と修正を幾度も繰り返し、この『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』に結実しました。それだけに『ドラえもん』の副読本として決定版といっても過言ではありません。
子供たちの好奇心を育んで、大人たちの好奇心を取り戻す。『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』は、『ドラえもん』ファンなら一度は手に取ってほしい良書でした。ということで、お気に入り度は星
つです。