漫画『ドラえもん』第6巻の最後を飾る傑作エピソード「さようなら、ドラえもん」は、当初は最終回になる予定だったと伝えられています。
結果的には後編に当たる「帰ってきたドラえもん」が描かれ、ご存知のとおり『ドラえもん』は続くことになりました。そしてこの復活劇のキーアイテムが、ひみつ道具の最強の一角と目されている“ウソ800(エイトオーオー)”です。
「嘘八百」とは、嘘だらけのこと、またはまったくのでたらめであることです。そして「八百」は数が多いこと、「八百万(やおよろず)」は限りなく数が多いことを意味します。
ドラえもんのウソ800は、飲むと喋ったことが全部嘘になる液体です。
例えば「晴れている」と言えば雨が降り、「雨が降っている」と言えば晴れになります。
用量は「帰ってきたドラえもん」における描写から、丸底フラスコ容器の約半分だと推定されます。よって1本で2回分です。
一部の媒体で「ウソ800の効果時間は75分」と解説されているものの、原作漫画では効果時間に関して一切触れていません。当サイトは、藤子・F・不二雄先生が生前に残した原作漫画を聖典としているため、この効果時間は度外視します。
また、あまりにも強大な効力なので、なんらかの制限が掛けられていると考えるのが妥当です。しかし制限に触れる描写も原作漫画にないため、無制限で効果が生じるものとします。
ちなみにウソ800はドラえもんの形をしたケースに入っていました。これはウソ800のケースではなく、「開けた人がそのときに必要としているものが出てくるひみつ道具」の可能性があります。
ウソ800は最強候補にあげられるほど強力であるにもかかわらず、扱いにくいひみつ道具です。もしもウソ800をもらったら、修正作業から始めるべきでしょう。
まず「喋ったことが嘘になる」という効果は、要望をあべこべに考えなければならないため、混乱の元です。そこでこの難点を逆転させるべく「喋ったことが本当ではなく嘘になる」と言って、「喋ったことが本当になる」ように是正します。
効果のオンオフが切り換えられないのも大きな問題です。これは発動条件をつければ解決します。例えば「ウソ800の効果は片眼を閉じているときだけ発動する」といった具合です。
前述したように効果時間が不確定なので、念のため永続化しておきましょう。
慎重を期するならほかにもまだまだ修正が必要だけれど、取りあえずはこれで使い物になるはずです。
さて、これで神にも等しい力が手に入ります。しかしそれが人にとって有用なことなのかは人知では計れません。この件については、ウソ800に近似する“ソノウソホント”のページに書いたものと重複するので、ここでは割愛します。
ウソ800とソノウソホントの優劣については、効果を修正していくと最終的には同等になります。初期状態では使い勝手がよい分だけソノウソホントが勝るでしょう。
ウソ800が効いている状態でうかつに口を開くのは危険です。自分でも気づかぬうちに世界を改変してしまう恐れがあります。言葉を一つ一つ慎重に選びながら話さなくてはなりません。
不測の事態を避けるためにも、ウソ800には効果の修正作業がやはり必須でしょう。
全人類の幸も不幸も、生かすも殺すも、ウソ800を服用した人の手中にあります。生殺与奪という絶対の権力を思うまま振るえるのだから、あらん限りの悪行を重ねられます。
ウソ800の効果を「喋ったことが本当になる」ように変えてから、「私以外はウソ800の存在と効果を一切知覚できない」とでも言っておきましょう。
ウソ800の力をもってすれば、政治でも経済でも、あらゆる体制に介入できます。文字どおり革命的なひみつ道具です。
あれも欲しい、これも欲しい。あれもやりたい、これもやりたい。あらゆる災厄を遠ざけ、あらゆる幸福を引き寄せる。そんなすべての希望をかなえられるウソ800やソノウソホントに惹かれないわけがありません。
人の手に余るひみつ道具だけど、適切な制限を最初に掛けるなら? どうせ妄想するなら欲望を優先させるのも一興です。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ウソ800の優先度は星欲しいひみつ道具ランキング番外編」入りです。
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