どこでもドア
満員電車に揺られながら、ふと「もしも“どこでもドア”があったら……」という空想にふけったことはありませんか?
学校だって、職場だって、扉を開ければすぐそこだし、海外だろうと、どこだろうと、行き放題!
でも、どこでもドアはそんな気楽な話だけじゃ済まされない、この世の平穏を脅かしかねない怖いひみつ道具で――。
機能と効果
ドラえもんのどこでもドアは、どこでも行けるドアです。行きたい場所を告げてこのドアを開けると、扉の先はもう目的地です。
頭の中の考えを読み取って補完する機能があるので、行き先を詳細に言わなくても、無言で開けても、基本的には目的地へつながります。
「どこでも」とはいうものの、実際は内蔵されている地図に登録済みの場所へしか行けません。そして地図の範囲は地球から10光年です。
どこでもドアは「空間をつなげる」ひみつ道具です。一部で言われている「使用者の複製」は『ドラえもん』の二次創作物における独自設定です。
有用性: ★★☆☆☆
どこでもドアさえあれば、ぎゅうぎゅうの満員電車に乗らなくて済みます。それどころか、もう移動するのに時間も費用もいっさい掛からない!
学校や職場がどこでも、自宅の最寄り駅がどんなに遠くでも構いません。リモートワークじゃなくたって、どこに住んでもやっていけます。
休日のおでかけだって自由自在。推しがどこでイベントをやっても、楽に追いかけられます。
どこでもドアの使い道は移動に限りません。自宅より暑い地域や寒い地域につなげて開けておけば、天然のエアコンです。アイデア次第で使い道はさらに広がるでしょう。
なんて便利なことか! ところがどこでもドアには、そんな有用性を帳消しにするほどの致命的な欠点があります。それは「秘匿性の欠如」です。
なにせフルサイズのドアだから、「こっそり持ち歩く」なんてできません。どこでもドアを運用するには“四次元ポケット”が必須なんです。
「ドラえもんのひみつ道具を一つだけもらえる」という条件下、つまり四次元ポケットなしでどこでもドアを誰にもバレずに使い続けるのは困難を極めます。
バレたってかまわない? いや、その存在を知られてしまったが最後、その悪用度の高さ(後述)ゆえに没収や強奪は免れません。
ひみつ道具に誰も目をくれない『ドラえもん』の世界とは違って、我々の暮らすこの世界では、どこでもドアは極めて危うい存在となります。
危険性: ★★★★★
「脳内の考えで行き先が決まる」というのはなかなか危なっかしい仕組みです。どこでもドアをうっかり開けると「しずかちゃんのお風呂」的な場所へつながりかねません。現実だと「のび太さんのエッチ!」では済まされないので気をつけましょう。
なにより最悪なのは過激な思想の人にどこでもドアの存在を知られてしまった場合です。あなたの身はおろか、世界が危機に瀕するかもしれません。
悪用度: ★★★★★
なぜ、過激な人にどこでもドアの存在を知られると危険なのか。それは、どこでもドアはあらゆる逸脱行為を助長するからです。
のび太がどこでもドアで一番よく行く場所は「しずかちゃんが入浴中のバスルーム」です。そう、どこでもドアの行き先に制約なんてありません。
どこでもドアの行き先を制約する機能「プライベートロック」は、副読本による後付け設定です。当ブログは藤子・F・不二雄先生による原作漫画を聖典としているため、これを考慮しません。
あなたの大切な人がバスルームから裸のまま行方不明になって、二度と戻ってこなかった。そんな悪夢のような恐ろしい出来事を引き起こします。
軍の武器庫から手榴弾を盗むのも、それを雑踏に投げ込むのも、造作もありません。世界中の人々が「今この瞬間に爆破されるかもしれない」と怯えて暮らすことになります。
どこでもドアによる犯罪は、現代の科学知識では実証できない「不可能犯罪」です。これに人類が立ち向かわせられるのです。
秘匿性: ★☆☆☆☆
どこでもドアの認知度はひみつ道具の中でもトップクラスです。なにもなかった空間にピンクのドアが突然表れて人が通ってきたら、「どこでもドアだ!」と瞬時に理解する人も多いでしょう。
とはいえ、あまりにも非現実的だから、「ドッキリ」だと思うかも?
Magic Door Prank (『モニタリング』の元ネタ?)
なんにせよ、どこでもドアを持ち歩けば嫌でも人目を集めます。やっぱり四次元ポケットあってこそのひみつ道具です。
革命度: ★★★★★
組織的かつ計画的にどこでもドアを用いて攻撃されたら、ホワイトハウスだろうとペンタゴンだろうと、ひとたまりもないでしょう。
世界の安全を脅かすほどの力がどこでもドアにあることは明白です。その存在を知られたら、間違いなく没収、いや強奪されます。
国家に接収されて研究が進んで、量産できるようになったとしても、核兵器なみに保有が制限されるはずです。
もしも、それでもどこでもドアが普及したら、運輸業をはじめとするさまざまな産業から、犯罪から、原油や土地の価値から、「国」という概念から、なにからなにまでひっくり返ります。
現代の科学力では量産できなかったとしても、どこでもドアが一つあるだけで世界は変わっていくでしょう。
例えば火星のテラフォーミング(地球化)です。どこでもドアを使えば、テラフォーミングにかかるコストを極端に下げられます。宇宙世紀の始まりです。
まとめ
悪用度が異常に高く、秘匿性が極めて低い。そして四次元ポケットがないと満足に運用できない。それがどこでもドアです。
喉から手が出るほど欲しいけど、考えれば考えるほど手が出せません。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、どこでもドアの優先度は星
つです。この記事の「ゆっくり解説」版
- 道具名称:
- どこでもドア
- 原作初出:
- コミックス第6巻「のび太漂流記」
- カテゴリ:
- 「と」から始まるもの / コミックス第6巻 / 人気 / 定番 / 悪用 / 移動
- 公開日:
- 2014年08月03日
- 更新日:
- 2022年03月27日