もしも「タイムテレビ」をもらったら

もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、せっかくだから、うんと非現実的なものが欲しいけれどそういったひみつ道具には、世界を一変させてしまうかもしれない危うさがあります。

“タイムテレビ”もその一つ。我々人類が手にするにはまだ早い、強力なひみつ道具です。それでも、やっぱり……。

機能と効果

ドラえもんのタイムテレビは、時間と空間を越えて、過去や未来のあらゆる場所の映像が見られるテレビです。

映像を3Dホログラムとして投影する機能も備えています。

タイムテレビが映し出す未来はその時点における暫定的な世界線です。その運命にあらがうこともできます。ただし「歴史の修正力」が働くため、未来を変えるのは困難を極めます。

有用性: ★★★★★

ピラミッドはどうやって建造したのか、邪馬台国はどこにあったのか、それからそれから……タイムテレビで過去を見れば、あらゆる歴史的な謎が解明できます。宇宙誕生のメカニズムさえ解き明かせるかもしれません。

もっと俗っぽく、ロズウェル事件の真相や、UMAの目撃情報を確認したっていい次から次へと知りたいことが湧いてくる、際限なく知的好奇心をくすぐるひみつ道具です。

原作エピソード「ドラえもんの大予言」では、のび太の交通事故をタイムテレビを使って回避しました自分の未来を定期的にチェックすれば、事件や事故、大病などから――歴史の修正力に打ち勝てれば――身を守れます。

ロト6などの予想系くじの結果を事前に見て大金をせしめる、なんていう軽薄な使い方もあるけれど……。

危険性: ★★★★☆

タイムテレビを使う上で気をつけなくてはいけないのが歴史の修正力です。タイムテレビで見た未来を変える行動を取ると、予期されていた未来へと軌道修正する出来事が起こります。

例えば、本来なら買うはずでなかった予想系くじを当てると、当選金を失う、なにか良くないことに見舞われるでしょう。

「ドラえもんの大予言」では、運命とのイタチごっこに陥りました。未来の変更を確定させるには、タイムテレビに付きっ切りで歴史の修正力と戦い続けなくてはなりません私利私欲のために使うのは、かなりの危険を伴います。

未来ではなく過去を見た場合、今度は見てはいけないものを図らずも見てしまうかも。一人では到底抱えきれないような秘密もこの世界にはあることでしょう。

そして、どこでも見ることができるタイムテレビは、国家安全保障を脅かす存在です。所持していることを知られてしまうと、必ずや身に危険が及びます。

悪用度: ★★★★★

タイムテレビがあれば、誰にも絶対に気付かれずに、人の私生活を自由自在に覗き見る盗聴盗撮ができますそんな力を手に入れたら、たとえあなたが善人でも、魔が差して好きな芸能人の私生活を覗き見てしまうかもしれません

ストーキングしたり、過去にさかのぼって弱みを握ってゆすったり、企業秘密を横流したりなど、秘密にまつわるあらゆる悪事を容易にします。

前述した予想系くじを当てるのも、広義において悪用といえるでしょう。

秘匿性: ★★★★★

こちらが見ていることが向こうへ伝わらない片方向通信なので秘匿性は守られます。

ありふれたテレビとそう変わらないデザインのタイムテレビは、本体を人に見られてしまっても、まさかそれが時空を越えるものだとは夢にも思われないでしょう。

タイムテレビを欲する人や組織はごまんといます。彼らがまっとうな存在だとは限りません。むしろ、危険な思想を持っているほうがより強くタイムテレビを求めるでしょう。

タイムテレビを手に入れたことは、絶対に知られてはなりません。

革命度: ★★★★★

NSA(アメリカ国家安全保障局)が度を越した諜報活動を行っていたことが、元局員のエドワード・スノーデンによって告発されました。

情報が世界を動かしているのです。タイムテレビを諜報活動に使えば、国家を転覆させることすら可能かもしれません。文字どおり革命を起こせるのです。

犯罪の捜査に使えば、あらゆる犯罪をたちどころに解決できます。この世界から犯罪を撲滅することすら視野に入ります。ただし、それには「完全に潔白な行政機関」というファンタジーな存在が必要だから、実現は不可能でしょう。

タイムテレビがもたらすものはあまりにも革命的過ぎて、この世に存在することが許されないかもしれません。

まとめ

藤子・F・不二雄先生による漫画『SF短編』シリーズの「T・Mは絶対に」は、時空を越えて映像を見られるモニターを題材にした、生々しくてちょっと大人な物語です。

藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 (4)
タイプ:
コミック
著:
藤子・F・ 不二雄
発売日:
2012年07月25日
発売元:
小学館

ドラえもん』とはまた別に描くだなんて、F先生にとってもタイムテレビは魅惑的な存在だったのではないでしょうか。

いわば「神の視点」であるタイムテレビを手に入れようなんておこがましいにもほどがあります。それでもその魅力にはあらがえませんこの世界には知りたいことが多すぎる。タイムテレビでそれらの答えを得たい。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、タイムテレビの優先度は星5つ。当サイト的「ドラえもんのひみつ道具で欲しいものランキング」入りです。

道具名称:
タイムテレビ
原作初出:
『ドラえもん』第1巻「ドラえもんの大予言」
カテゴリ:
「た」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第1巻 / 定番 / 悪用 / 探索 / 時間
公開日:
2014年05月17日

あわせて読みたい

広告