もしも「とりよせバッグ」をもらったら

注意力がとことん散漫なのび太といったら、教科書もノートも家に忘れて登校して、帰りにはランドセルを学校に置き忘れてくる始末です。

そんな忘れん坊なのび太のためにドラえもんが取り出したひみつ道具が「とりよせバッグ」です。

機能と効果

ドラえもんの「とりよせバッグ」は、どこにある物でも取り寄せられる、がま口バッグです目的の物を口頭で指定してこれに手を入れると、それがある場所に空間がつながって手が届きます。

「どこでもドア」と同じく、思考を読み取って補完する機能が備わっているようで、曖昧な指定でも、目的物がある場所にちゃんとつながります。

大長編『ドラえもん のび太の魔界大冒険』では、魔界星で地球から勉強机を取り寄せましたがま口より大きい物を取り出すことも、ほかの天体にある物を取り寄せることもできるわけです。

大長編ドラえもん5 のび太の魔界大冒険 (てんとう虫コミックス)
タイプ:
Kindle版
著:
藤子・F・不二雄
発売日:
2015年12月25日
発売元:
小学館

有用性: ★★★★☆

いつどこに忘れ物をしたって「とりよせバッグ」があれば問題なし! なんでもすぐに取り寄せられます折りたたみ傘とかの「念のため」という物を持ち歩く必要はもうありません。

でもどうかな、このデザインは……。ビジネスシーンでNGなのはもとより、普段使いにも厳しいものがあるダサさですこれより大きな本命のバッグに入れて、バックインバックとして使うことになりそうです。

それでもなお、格別に便利なことに変わりありません。「必要なものを持ち歩く」という当たり前が覆ります。

送り届ける

そして「物を送る」という逆転の発想な応用方法も考えられます。

ドラえもんが「とりよせバッグ」で目の前のノートを取り寄せてみせると、ノートのすぐ上の空間からドラえもんの手がニョキっと現れましたこのことから、単純に空間をつなげる効力だとわかります。

それなら向こうからこちらに物を持ってくるだけではなく、こちらから向こうに物を置いてくることだってできるはず。

取り寄せて良し、送って良し。荷物にまつわる煩わしさから解放されます。

どこでもバッグ!?

「とりよせバッグ」でママがのび太を取り寄せたり[1]、のび太がしずかちゃんを取り寄せたり[2]したこともありました。人間も取り寄せ可能!

「とりよせバッグ」に手を入れてから全身を入り込ませれば、そのまま向こう側へ行けると推定されます「どこでもドア」ならぬ「どこでもバッグ」です。

ただし空間がつながっているのは内側だけなので、「とりよせバッグ」の本体は向こうへ移動しません。行き来するなら協力者が必要です。

「離れた空間をつなげる」という超常の力を有する存在をそうやすやすとは人に明かせません人には教えず、自分一人で向こうへ行くだけにとどめるのが無難な落としどころです。

  1. てんとう虫コミックス『ドラえもん』第11巻「とりよせバッグ」
  2. てんとう虫コミックス『ドラえもん』第25巻「四次元ポケットにスペアがあったのだ」

危険性: ★★★☆☆

「とりよせバッグ」の基本は手探りです。バラエティ番組の「箱の中身はなんだろなゲーム」みたいなもの。なかなか怖いシチュエーションです。

状況を把握している自宅ならともかく、知らない場所にある物を取り寄せるのは、恐怖と危険が伴うでしょう。

悪用度: ★★★★★

「とりよせバッグ」は目的物の所有者なんてチェックしません。誰の物でもおかまいなしに取り寄せられます。つまり窃盗し放題遠く離れた場所の物だろうと、金庫に入っている物だろうと、なんだって盗み出せます。

ほとんどのセキュリティは「とりよせバッグ」の前で無力です。

まだ窃盗は序の口です。人を強制的に取り寄せる、すなわち拉致です体重のある大人を「とりよせバッグ」から引きずり出すのは難しいものの、軽い児童ならいとも簡単に拉致できてしまいます。

身内の犯行!?

もしも家から貴重品や子供が消えて、しかも侵入された形跡がいっさいなかったら当然ながら、疑いをかけられるのは、家に自由に出入りできる人でしょう。

窃盗にしろ拉致にしろ「とりよせバッグ」を犯行に用いた場合、「身内の犯行が疑われる」という二次被害が生じます。これがまたタチが悪い。

窃盗と拉致を容易にするばかりか、身内に対する疑心暗鬼をも生じさせる。それが「とりよせバッグ」の恐ろしい暗黒面です。

秘匿性: ★★★☆☆

なにもない空間から突如として手が現れて、物をつかみ取った次の瞬間には消え失せた……。なんてインパクトの強い光景か目撃した人は、誰かに言わずにはいられないでしょう。

とはいえ、絵に描いたような超常現象です。目撃証言を素直に信じる人は少ないばかりか、目撃した本人すら幻覚や見間違いだったと思い直すかもしれません。

なんにせよ、人目につく場所の物を「とりよせバッグ」で取り寄せるのはなるべく控えましょう。

革命度: ★★★★☆

福島第一原発の廃炉における最大の難関と言われている作業が「核燃料デブリの取り出し」です「とりよせバッグ」なら核燃料デブリすら容易に取り出せる……かどうかは専門家の意見を聞きたいところ。

そういった「困難極まりないこと」のいくつかを「とりよせバッグ」は打破するかもしれません。社会への影響はもちろん大きいでしょう。

しかし離れた空間をつなげる効力は応用範囲が広く、社会に弊害を及ぼす負の面もまた大きい「とりよせバッグ」の存在は公にしないで、忘れ物を取り寄せるくらいの使い方にとどめておいたほうが世界平和のためかもしれません。

まとめ

「とりよせバッグ」の効力は間違いなく魅力的でも悪目立ちするデザインやら、手探りで物を取る緊張感やら、悪用度の高さやら、気になる部分も目につきます。

このひみつ道具によって広がる夢がどれだけあるかと考えると……。広がるのは悪人の野心ばかりかもしれません。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、「とりよせバッグ」の優先度は星2.5つです。

道具名称:
とりよせバッグ
原作初出:
『ドラえもん』第11巻「とりよせバッグ」
カテゴリ:
「と」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第11巻 / 人気 / 定番 / 悪用 / 移動
公開日:
2015年08月19日
更新日:
2024年05月17日

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