ドラえもんのひみつ道具から一つだけもらえるとしたら、どれを選ぶ?
「なにをどうしたいか」という目的意識がひみつ道具を選ぶ決め手となります。でも実際のところ、「あれもしたい、これもしたい」と人間の欲望は尽きません。
「どうせなら一つと言わずに全部くれ!」
「きみはほんとによくばりだな」
あきれた顔をするドラえもんが目に浮かびます。
それでも、どうしても全部のひみつ道具が欲しいなら、最初にもらった一つのひみつ道具を皮切りにして、残るすべてを手に入れるほかありません。
その「最初の一つ」はどれを選べばいいのか。よくある答えを例として検討してみましょう。
「一つしかひみつ道具をもらえないなら“四次元ポケット”をもらえばいいじゃん。だってひみつ道具が全部入ってるんでしょ?」
残念。四次元ポケットはただの収納用品です。ひみつ道具が湧いて出てくるわけじゃないから、「ひみつ道具を一つだけ」という条件でもらえば中身は空っぽです。
ちなみにひみつ道具の数々は、ドラえもんが少ないおこづかいをやりくりして買い集めたものです。けなげなドラえもん!
「それなら“スペアポケット”を選べばいいじゃん!」とすぐに思いついたあなたはなかなかの『ドラえもん』ファンかもしれません。
ドラえもんの四次元ポケットとつながっているスペアポケットなら、確かにほかのひみつ道具が入っています。
これでドラえもんのひみつ道具は自分のもの……ってそれドロボーだから! よりによってドラえもんを裏切るなんて最低です。
それにドラえもんがひみつ道具をくれたあと未来に帰ったら、四次元のつながりは切断されるはずです。モラルを度外視しても、優れたアイデアとはいえません。
「全部のひみつ道具が入っている四次元ポケットをどうにかして選べないの?」
その選択肢は一応あります。“ミニドラ”です。ミニドラの四次元ポケットには、小さなひみつ道具、いわば「ミニひみつ道具」が一通り入っています。
「ポケットからいちおうなんでもでてくる。スケールは小さくなるけど」
てんとう虫コミックス『ドラえもん』第41巻「ぼくミニドラえもん」より
ミニひみつ道具は通常版とは異なる特注品なことを踏まえて考えると、ミニドラ本体とミニひみつ道具を合わせてワンセットだと考えるのが妥当でしょう。
それなら「ひみつ道具を一つだけもらえる」という条件でも、ミニドラにはミニひみつ道具が一式ついてくることになります。
ただしミニひみつ道具はその効力もスケールダウンしています。「全部のひみつ道具をそろえる」という目的のゴールとしては、いささか中途半端です。
「やっぱミニ版じゃなくて、通常版のひみつ道具が欲しい!」
そこまでかたくなに望むなら、いよいよ最有力候補の“進化退化放射線源”の出番です。あらゆるものを進化させたり退化させたりする波動を出す光線銃です。
「ひみつ道具」とは要するに未来の道具です。つまり! 「進化させた道具は、すなわちひみつ道具」といっても過言ではありません。
とはいえドラえもんが使うひみつ道具の数々は、今ある道具が進化したものじゃなくて、突然変異を遂げたものばかりです。風呂敷を進化させたって、とうてい“タイムふろしき”にはならないでしょう。
進化退化放射線源で得られるのはあくまで「ひみつ道具みたいなもの」であって、「ドラえもんのひみつ道具そのもの」にはならないかもしれません。
「それならいっそのこと“タイムマシン”で未来へ行って、ひみつ道具を買ってくるよ!」
ひみつ道具は未来の世界で一般販売されている商品です。ドラえもん行きつけの「未来デパート」へ買いに行けば手に入ります。
問題は支払い方法です。ドラえもんの生まれた2112年には、おそらくすべての決済がキャッシュレス化されているでしょう。そして未来の社会の市民権をもたない我々は口座を開設できません。
さて、いったいどうやって買う?
意外と簡単に買えて杞憂に終わるか、どうにも買えなくて無駄足に終わるか。それは未来に行ってみなければわかりません。
タイムトラベルにはトラブルがつきものだし、タイムマシンでひみつ道具を買い集める方法はなかなかリスキーです。
「現代にいながら、現代の通貨で、未来から買い物できたらなあ」
そんな都合のいいひみつ道具があるわけな……、ってあります、あるんです、そんなひみつ道具が。“自動販売タイムマシン”です。現代から、現代の通貨で、未来や過去から商品が買える自動販売機です。
これがもっとも簡単手軽にひみつ道具をそろえられる手立てでしょう。
ちなみにひみつ道具の値段はピンキリです。ドラえもんは安物の使い捨て品を買ったり、レンタルしたりして節約しています。
ひみつ道具でお金を増やす方法に関しては、「願望別選抜: お金が欲しい」をお読みください。
「あれ? そういえば“ウソ800”があるよね」
ドラえもんのひみつ道具には、それ一つですべてを賄えるであろう万能なものがいくつかあります。中でも有名なのがウソ800です。
なるほどたしかに「喋ったことが全部嘘になる」ウソ800を使えば不可能なんてありません。でもそれなら、もうほかのひみつ道具なんていらないでしょう。
「一つのひみつ道具を使って、すべてのひみつ道具をそろえる」という観点からずれるため、ここではこれを番外とします。
こうった万能なひみつ道具(“もしもボックス”とか“あらかじめ日記”とか)については、別途「ドラえもんのひみつ道具で最強なのはどれだ」で特集しています。
もしもドラえもんのひみつ道具を一つだけもらえるチャンスが訪れたら、自動販売タイムマシンを選べばひみつ道具を全部そろえられる――かもしれません。
厳密にいうと、タイムパトロールやら航時法やら、越えなくてならないハードルはまだまだ多く残されています。
いずれにしても、「一つだけ」が要点の空想なのに「全部」を目標にするなんて、野暮というものでしょう。
せっかくだから「自分なりの一つ」を考えたほうが面白い。当サイト的には“タイムふろしき”です。あなたなら、いったいどれを選びますか?