ゆうびんロケット

久しぶりにインドから帰ってきて野比家を訪れたのび郎おじさん(のび助の弟)は、不思議なみやげ話を語り始めました。話はさかのぼって戦時中、のび郎おじさんの大好きだったゾウのハナ夫が殺されてしまった出来事から幕を開けます。

のび郎おじさんの話はまだ途中だったのですが、いてもたってもいられなくなったドラえもんとのび太は、ハナ夫を救うべく“タイムマシン”に乗り込みました。そのときに戦時中の動物園で活躍したひみつ道具が“ゆうびんロケット”です。

戦時猛獣処分

漫画『ドラえもん』第5巻の最後を飾るこの傑作エピソード「ぞうとおじさん」は、第二次世界大戦に上野動物園で行われた戦時猛獣処分を描いた童話『かわいそうなぞう』をモチーフにしています。

戦時猛獣処分とは、空襲で破損したケージから猛獣が逃げ出して人を襲う事態を懸念して、あらかじめ動物園の猛獣を殺処分しておくことです。

上野動物園における戦時猛獣処分については、上野動物園公式サイトの上野動物園の歴史でも言及されています。

余談ですが、村上春樹の小説『象の消滅』(短編集『パン屋再襲撃』に収録)は、「ぞうとおじさん」とすこしふしぎな共通項のある物語です。ネタバレになるため詳細は伏せますが、なんとも興味深いシンクロニシティです。

機能と効果

ドラえもんのゆうびんロケットは、郵便物を送る小型ロケットです。

郵便ポストの形をしていて高さは50cmほど。投函口から、または本体横の蓋を開けて、送りたい手紙や荷物を入れます。それから本体裏に宛先を記入すると、打ち上がって目的地まで飛んで行きます。

「ぞうとおじさん」では東京からインドのジャングルまで飛ばして、そのまま回収しませんでした。このことから、ゆうびんロケットは地球全土が射程範囲で、また一回こっきりの使い捨てだとうかがい知れます。

なおドラえもんが言った「あて先へついたら、もとどおり大きくなるからね」については、ゆうびんロケットの機能ではなく、“スモールライト”の「およそ3日で効果が切れる」という特性のことだと推測されます。

有用性: ★☆☆☆☆

郵便や宅配便の利便性はいうまでもなく、それだけに郵便網は世界中へ行き渡っています。よほど特別な理由がなければ、あえてゆうびんロケットを使うまでもありません。一般人にはおよそ縁のないひみつ道具です。

もしもゆうびんロケットを必要とするような事情を抱えていたとしても、一回しか使えないのでは力不足です。

危険性: ★★★★☆

「ぞうとおじさん」の作中にはゆうびんロケットの到着する様子が描かれていません。そのため、どのように着陸するのかは不明です。大抵のひみつ道具は「細かいことは言いっこなし」な設計なので、墜落に近い形での着陸もあり得ます。

空から飛んできたこんな物が頭にでも当たったら即死します。着陸の仕方しだいですが、かなり物騒なひみつ道具です。

また、発射したゆうびんロケットが軍のミサイル監視システムに感知された場合、弾道ミサイルだと誤認される恐れもあります。国際問題に発展しかねない、由々しき事態です。

悪用度: ★★☆☆☆

爆弾を投函したゆうびんロケットは、誤認でもなんでもなく、まさしく「弾道ミサイル」です。

とはいえ一般人が入手できる爆弾なんてたかが知れているので、せいぜい空のゆうびんロケットを重要施設に打ち込んで騒ぎを起こすような愉快犯止まりでしょう。

ゆうびんロケットのもっとも単純な悪用は密輸です。

秘匿性: ★☆☆☆☆

隕石やUFO(らしきもの)などの空飛ぶ物体は好奇心をくすぐります。空飛ぶゆうびんロケットを発見したら、かなりの数の人がスマホで動画の撮影を試みるでしょう。注目度が高いネタですから、SNSであっという間に拡散されてしまいます。

革命度: ★★★☆☆

使い捨ての郵便用ロケットを一つもらったところで世界は変わりません。しかしゆうびんロケットに使われている未来の技術が解析できたなら話は別です。弾道ミサイルの小型化と性能が飛躍的に向上させられます。

防衛力はそのままに、攻撃に関する技術だけが一足飛びに進化することになるのだから、人類にとって好ましくない技術革新となるでしょう。

まとめ

郵便や宅配便の現状に不満はないので、ゆうびんロケットには特別な価値を見いだせません。さながら弾道ミサイルのようなゆうびんロケットを使って、余計な疑いを掛けられても困ります。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ゆうびんロケットの欲しい度は星0.5つです。

道具名称:
ゆうびんロケット
原作初出:
コミックス第5巻「ぞうとおじさん」
カテゴリ:
「ゆ」から始まるもの / そのほか / コミックス第5巻
公開日:
2015年10月22日
更新日:
2017年07月29日

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