宝探しの冒険を描いた漫画を読んで、例のごとく感化されまくったのび太は、さっそく自宅の物置に宝の地図がないか探し始めました。
一般家庭の物置の中から宝の地図が出てくるわけがないだろ、とドラえもんが諭すと、のび太はすっかり拗ねてしまいました。
そこでドラえもんが「やれやれ」と取り出したひみつ道具が“宝さがしごっこセット”です。
ドラえもんの宝さがしごっこセットは、宝探しのごっこ遊びを楽しめる宝箱型ロケットです。
中には金銀財宝――のプラスチック製の作り物がぎっしり入っていて、底面の発射ボタンを押すと、どこか遠くへ飛んで行きます。
そして財宝が隠されていそうな、それらしい場所に着陸して、地中に埋まるなどして隠れます。それと同時に本体から切り離された小型ロケットが、スタート地点へ飛んで戻ります。
戻ってきた小型ロケットには、宝の隠し場所を暗号で示したメモが入っています。この謎を解きながら宝探しを楽しむという寸法です。
隠された財宝を、暗号を手掛かりにして探し出す。なんともときめく話です。たとえ財宝が作り物だとしても、そんな宝探しのロマンを疑似体験できるのは魅力的です。
でも、そういう遊びは気の合う仲間たちとわいわいやってこそ。正直に「宝箱がロケットで飛んで行ってひとりでに隠れて……」とは言えないし、いったいどうごまかしたらいいのやら。
宝さがしごっこセットはヒントを追加してくれないのも難点です。暗号の解釈を間違って、まるで見当違いの場所で探し回って徒労に終わるケースも考えられます。
投げっぱなしなのはリアルな反面、遊びとしてはガチ過ぎて、気軽には楽しめません。結構人を選ぶ、趣味性の高いひみつ道具です。
市街地からロケットを飛ばすなんて、危険極まりない? いやいや、そこは未来の謎テクノロジーで安全性が確保されていると信じましょう。
宝さがしごっこセットは人目につかない山奥などに飛んで行って、ひとりでに地中に埋まります。そして中になにを入れるのも自由です。
これは犯罪にまつわる隠蔽したいなにか――例えば死体――を隠すのにうってつけの機能となります。
とはいえ、犯行そのものを助長する悪魔的なひみつ道具のような悪用性は見いだせません。
長辺が1メートルほどもある立体物が長距離を飛翔するのだから、人やシステムに感知される可能性は大いにあります。
目視されやすい日中ではなく、夜間に発射するのは当然として、自衛隊や米軍の基地があるエリアも避けるべきでしょう。
宝さがしごっこセットのステルス性は未知数です。騒ぎになるかならないかは、飛ばしてみるまで分かりません。
宝探しごっこで、いったいどうやって世界を変えるというのでしょうか。
宝さがしごっこセットの財宝は偽物だけど、宝探しの過程は本物の経験として自分に残ります。
宝探しをテーマにした人気映画シリーズの『インディ・ジョーンズ』だって、重要なのは財宝ではなくて、冒険の過程です。財宝が偽物なのは大した問題ではないでしょう。
Indiana Jones - Official Trailer
それでも本物の財宝にこだわるなら“ここほれワイヤー”で地道に探せばいいし、とにかくお金が欲しいなら“フエール銀行”でサクッと増やせばいい。
なんにせよ宝さがしごっこセットは「宝探し遊びをする」という一点に特化したひみつ道具だから、「いる・いらない」の判断は用意です。
自分としては別にいらないな、というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、宝さがしごっこセットの優先度は星
つです。