もしも「ルームスイマー」をもらったら

カナヅチののび太は「泳げるようになりたい。でも人前で練習するのは恥ずかしいから人けのない海へ行きたい」という旨の相談をドラえもんにしました。

海で水泳の練習をするのは危ないと思ったドラえもんが一考して取り出したひみつ道具が“ルームスイマー”です。

機能と効果

ドラえもんのルームスイマーは、室内で泳ぐための特殊な水です。ホースのノズルから出すと、自然と直方体の形にたまって、触るとブヨンブヨンと跳ね返されます。

付属品のクリームを体に塗れば、中に入れるようになります。泳ぎに追従してルームスイマーも移動するので、体がつかる程度の水量だけで、泳ぎ続けられます。

ひとたびルームスイマーに入ると人力では抜け出せません。ノズルでルームスイマーを吸水して除去することだけが解放される唯一の方法です。体の半分くらいまでは自由に外に出せるので、息継ぎなどは問題なく行えます。

有用性: ★★★☆☆

水泳が好きな人にとって、自宅でいつでも泳げるルームスイマーは夢のようなひみつ道具でしょう。

ただし存分に泳ぐとなるとそれなりに直線距離の取れるスペースが必要です。スポーツクラブのプールに通うような「本気の人」が満足に泳ぐには、並みの広さでは足りません。

どちらかというと水泳より、水につかってただのんびりするのに向いています。それってなかなか贅沢な真夏日の過ごし方。自宅ならいっそのこと全裸でルームスイマーにつかって開放感を楽しめば、いいストレス解消になりそうです。

危険性: ★★★☆☆

体が冷えてきたし、それに泳ぎ疲れたからと、のび太はルームスイマーから出ようとしたけれど、自力ではどうにもこうにも抜け出せません。頼りのドラえもんはノズルを持ったままどこかへ行ってしまいました。

パニックを起こして消耗したのび太が力尽きる間一髪のところでドラえもんが帰ってきて助かりました。足のつく水深でも、パニックを起こして溺れてしまうのはよくあるケースです。

水は身近な存在であるのと同時に、とても危険な存在でもあることを忘れてはなりません。専用のノズルを使わないと抜け出せないルームスイマーなら殊更です。

悪用度: ★★☆☆☆

綿密な計画を立てれば、ルームスイマーを用いて人を溺死させ、入浴中の事故死だと偽装することが可能かもしれません。

しかしそこまでの執念と計画性があったなら、ルームスイマーがなくとも別の方法で完遂することでしょう。「ルームスイマーならでは」という悪用は見いだせません。

秘匿性: ★★★☆☆

ルームスイマーは現代の科学技術では実現不可能です。

それでもいざ目にしたら「こんなことができるようになったのか!」と納得してしまう人も多いでしょう。むしろ「これは未来から時を越えてもたらされたものだ!」と気づく人のほうが少数派かもしれません。

なんにせよ、自宅で一人で使えば目的を果たせるひみつ道具なので、秘匿するのは容易です。

革命度: ★★☆☆☆

固体ではなく、液体のまま特定の形状を保ち続ける。これは応用範囲がとんでもなく広い技術です。もしもルームスイマーが解析できたなら、さまざまな分野に影響をもたらすでしょう。

もちろんドラえもんからもらった人が秘匿して一人で使う分には、世の中は1ミリたりとも変わりません。

まとめ

いい感じに子供っぽくて、なんだかわくわくさせられる――そしてなにげに危険性が高い――ルームスイマーは、「これぞひみつ道具!」といった感じです。ドラえもんが我が家に住みついたら、夏の定番になりそうです。

でも「ひみつ道具を一つだけもらえる」という条件下でこれを選ぶかというと、それはまた別の話になります。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ルームスイマーの優先度は星2つです。

道具名称:
ルームスイマー
原作初出:
『ドラえもん』第18巻「ルームスイマー」
カテゴリ:
「る」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第18巻 / 体験 / 水中
公開日:
2017年07月06日

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