自分の野球用グローブが破けてしまったのび太は、新しいのが欲しいとドラえもんにおねだりしました。
のび太のずうずうしさにドラえもんはあきれました。けれどのび太が少しは労力をかけても構わないと言うのを聞いて、それならと取り出したひみつ道具が“チョージャワラシベ”です。
ドラえもんのチョージャワラシベは、願いをかなえるわらしべ(稲や麦の茎を干したもの)です。
これを手に持って願いを口にしてからうろつくと、おとぎ話の『わらしべ長者』のように物々交換が連鎖して、そのうち願いが実現します。
一度願いをかけたチョージャワラシベは再利用できないと推定されます。
原作でドラえもんが“四次元ポケット”からチョージャワラシベを取り出したとき、4本まとめて手にしていました。このことから、もらえる本数は4本とします。
チョージャワラシベに「モデルガンが欲しい」とお願いしたジャイアンが迎えた結末は、「モデルルーム」と書かれた看板が頭に「ガン!」とぶつかる災難でした。
そんなダジャレ的な結果に終わるのは、ひみつ道具ではよくあること。チョージャワラシベがあれば願いがなんでもかなえられると思ったら大間違いです。
そのうえ交換相手が現れるまでうろつき続ける労力と、見ず知らずの人と物々交換の交渉をするコミュ力も求められます。
かようにチョージャワラシベはなかなか厄介な代物です。「ひみつ道具を一つだけもらえる」という二度とないチャンスに見合う結果が得られるかは、やってみるまで分かりません。
幸い4回チャレンジできます。まずは一番大きな願いからスタート。宝くじを買ったくらいの腹積もりで挑みましょう。
頭に看板をぶつけられたジャイアンのように、チョージャワラシベにかけた願いが不慮の災難にすり替わる恐れがあります。
チョージャワラシベの性質からいって、自分以外の誰かが損害を被る願いは、そのままの形では実現しないと思われます。
なにせおとぎ話をモチーフにしたひみつ道具です。悪意の報いで自分がひどい目に遭うという訓話的な結末を迎えるかもしれません。
チョージャワラシベは対面で物々交換していかないと話が進まないので、人知れず使うことは不可能です。
とはいえ、それらの物々交換がひみつ道具によって引き起こされた事象だとは、誰も知る由がありません。
チョージャワラシベ自体も普通のわらしべと見分けがつかないし、「時を越えて現代にやってきたドラえもんからひみつ道具をもらった」という秘密は労せずして守れます。
モデルガンをおねだりした程度の願いでも不発に終わることがあるくらいです。社会に変革をもたらすような願いがチョージャワラシベで実現することはないでしょう。
『わらしべ長者』の「物々交換を繰り返して品がグレードアップしていく」という筋書きは、現実にはそううまくいくわけがないと知りつつも、もしかしたらと思わせる、心憎い話です。
その「もしかしたら」を実現させる(かもしれない)なんて、なかなか気の利いた効力だといえます。
でもまあ同じ目的でひみつ道具を一つ選ぶなら、より確実な“きこりの泉”をもらったほうが賢明でしょう。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、チョージャワラシベの優先度は星
つです。