のび太の仲間内でバッジ集めがにわかに流行りだしました。例のごとく、親がお金持ちのスネ夫に敵わなくて悔しがるのび太に泣きつかれて、ドラえもんが取り出したひみつ道具が“バッジ製造カメラ”です。
「バッジ製造カメラ」という名称は『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』より。このひみつ道具が登場する第5巻のエピソード「バッジを作ろう」の作中では、道具名が明示されません。
ひみつ道具のバッジ製造カメラは、バッジを簡単に作れるカメラです。
このカメラで撮影すると、メインの被写体だけを切り出したデザインのバッジが本体の中にすぐさま現れます。一枚板のバッジでサイズは長辺がおよそ4~5cmです。
実物ではなく、絵や写真もデザインの元に使えます。のび太は図鑑から様々なバッジを作りました。
また、ひとりでに撮影してくれる自動シャッター機能も備わっています。
バッジ製造カメラは、「バッジなんて一つも持っていない」という人にとってはほとんどなんの価値もない一方、「バッジが大好きで集めてる」という人にとっては垂涎(すいぜん)のひみつ道具でしょう。
純粋にバッジを作るだけのひみつ道具ですから、その有用性は使用者がバッジに見いだせる価値次第です。
別段危険を招く要素はありません。
弁護士記章など、身分や資格を表すバッジもあります。絵や写真からでもバッジを作れるバッジ製造カメラを使えば、そういったバッジの偽物が簡単に作れます。
しかし、バッジ製造カメラで作るバッジは平面的です。身分や資格を表すバッジはたいてい立体的なデザインになっているため、本物を知っている人が見れば一目で偽物だとわかります。コスプレ用のバッジのほうがまだ似ているでしょう。
バッジ製造カメラの見た目はなんの変哲もないカメラですが、デジカメが主流となった今となっては昭和レトロなデザインは逆に目立つかもしれません。人前で使わないに越したことはないでしょう。
ちなみに、裏蓋を開けたまま撮影するとバッジが飛び出てきます。人前で使うときは、裏蓋をしっかり閉じておくべきです。
エピソード「バッジを作ろう」が描かれた70年代にはSF的な空想の存在だったであろう3Dプリンターが、現在ではすでに実用化されています。
バッジ製造カメラの本体サイズの小ささや、製造速度の高速さは今でも特別優秀です。しかしそれも遅かれ早かれ現実が追いつくでしょう。
バッジは好きなほうだけど、既製品で十分。バッジ製造カメラをもらっても、そうそうに飽きてしまいそうです。というわけで、バッジ製造カメラの優先度は星
つです。