シネラマン

とあるひみつ道具で自宅のお風呂をプール代わりにできることを知ったのび太は、しずかちゃんを「一緒にお風呂に入ろう」と誘いました。当然エッチな意味だと勘違いしたしずかちゃんがどうしたかというと、なんとのび太をボコったのです。

連載初期のしずかちゃんは随分おてんばだったという話はさておき、そのとあるひみつ道具が“シネラマン”です。

機能と効果

ドラえもんのシネラマンは、空間認識能力に作用する錠剤です。

この錠剤を服用すると、周囲の空間が水平方向へ何倍にも広がったような錯覚を起こします。効き目は直ちに現れ、飲めば飲むほど効果が増幅してより広がって感じます。のび太の部屋(1)が1錠でおよそ100メートル四方になりました。

視覚に連動した錯覚が身体感覚にも及びます。例えば50倍の広さに錯覚しているとき、本人が50メートル歩いたつもりでも、実際は1メートルしか進んでいません。ほぼその場で足踏みしているだけなのです。

シネラマンは、 効果を出す錠剤と、効果を打ち消す錠剤(以下「アンチシネラマン」という)の2種類でワンセットです。しかしほかの錠剤型ひみつ道具がそうであるように、シネラマンも一定時間で効果が切れると推測されます。

シネラマンが登場する原作エピソード「うちのプールは太平洋」の扉絵で、シネラマンは7錠入りに描かれています。ところが作中では最低でも10錠は飲んでいるため、本稿ではシネラマンとアンチシネラマンを各10錠もらえるものとします。

ちなみに「シネラマ」とは、映画の映写方式の一つです。同期させた3台の映写機で、湾曲した横縦比2.88:1のスクリーンに映写する変則的な方式です。現在はほとんど使われていません。

(1)のび太の部屋の間取りは、原作漫画とアニメ第2作第2期(わさドラ)では四畳半、アニメ第2作第1期(大山ドラ)では六畳だといわれています。

有用性: ★★☆☆☆

シネラマンはリラクゼーションに適したひみつ道具です。例えば家のお風呂でシネラマンを飲めば、大浴場に様変わり。大浴場を独り占めする優雅なバスタイムで気分転換できます。

お風呂に限らずとも広々とした空間は気分がいいもの。さまざまな場所がリラックス空間へ変貌するでしょう。

ただし、シネラマンとは要するに空間認識をゆがませる幻覚剤です。快感作用はもとより毒性や副作用もないとはいえ、脱法ドラッグの一種であるといわざるを得ません。これを有用とするかは微妙な問題です。

危険性: ★★★☆☆

お風呂で大量のシネラマンを飲んだのび太は、水平線がかすんで見えないほど広がった浴槽から出られずに力尽きてしまいました。その空間がシネラマンによる錯覚だと知っていても抜け出せないのです。

シネラマンの効果は状況次第で恐ろしい呪縛となります。シネラマンを飲むときはアンチシネラマンを必ず持っておくべきです。

また、日常風景とは違う異世界のような広い空間に身を置くことで、広所恐怖症を発症するかもしれません。

悪用度: ★★☆☆☆

シネラマンが効いているあいだは徒歩で移動する実際の速度が遅くなります。大量摂取した際はその場からほぼ動けません。シネラマンを人に飲ませれば、移動の自由を制限できます。いわば忍法「影縫いの術」です。

徒歩で移動する以外の行動には影響しないとはいえ、無断でシネラマンを人に飲ませることは十分悪質な行為です。

秘匿性: ★★★★☆

シネラマンの効果は服用した本人しかわかりません。自分一人で楽しむ分には、たやすく秘密にして隠しておけます。

革命度: ★★☆☆☆

幻覚成分は、自生する植物に含まれていることもあるくらい、ありふれた存在です。しかし、水平方向の空間認識だけに作用する成分となると類を見ません。

さりとてシネラマンが人類の発展に進歩するかといえば、そんな殊勝なひみつ道具ではないでしょう。

まとめ

広々とした空間がどれだけ気持ちいいにしたって、「ドラえもんのひみつ道具を一つだけもらえる」という千載一遇のチャンスには釣り合いません。消耗品で使える回数が少ないのも大きなマイナス点です。

幼少期に読んだ「うちのプールは太平洋」は不思議と記憶に残っているけれど、シネラマンの優先度は星1つです。

道具名称:
シネラマン
原作初出:
コミックス第5巻「うちのプールは太平洋」
カテゴリ:
「し」から始まるもの / コミックス第5巻 / 大きさ
公開日:
2015年10月02日
更新日:
2016年10月30日

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