空手のまねごとにハマっているジャイアンの標的となってしまったのび太は、なんとか捕まらずに家へ帰り着こうと電話でドラえもんに迎えを求めました。
そのときジグソーパズルを組んでいたドラえもんは途中で家を離れたくなくて、代わりにひみつ道具の“おもちゃの兵隊”をのび太の迎えによこしたのですが……。
ドラえもんのおもちゃの兵隊は、どんな相手でもやっつけてくれる心強い護衛兵ロボットです。
おもちゃ然とした見た目とは裏腹な高い戦闘力を誇ります。大きさはおよそ20~30センチ。指揮を執る隊長が1体と、小銃を装備した兵士が4体の計5体でワンセットです。
音声で命令して、護衛する対象を設定すると護衛任務を開始します。任務を解除するまで新たな命令は受け付けません。任務の解除はその命令をした人だけができます。
全自動で任務を遂行する自律型なので、攻撃目標の決定はおもちゃの兵隊任せです。攻撃を開始するハードルは極端に低く、護衛対象に文句をつけたり、挨拶として軽く肩を叩いたりするなど、些細なことでその人を敵と見なして攻撃します。
銃剣を使って威嚇攻撃するケースもありますが、基本的には有無をいわせず小銃による一斉射撃で攻撃目標を黒焦げにします。軟式ボールを一撃でズタボロにする原作の描写から、小銃の火力の高さがうかがえます。
原作ではのび太を守るために使われましたが、人の護衛だけではなく、物や場所の警護にも使えると推測されます。
ほとんど手当たり次第に攻撃してしまうおもちゃの兵隊は、日常的に帯同する護衛には向いていません。事件や事故から守られることよりも、無駄なトラブルが起こることのほうがはるかに多いでしょう。
おもちゃの兵隊を起動させずに持ち歩いて、危機が迫ったときだけ命令して起動すれば、誤射を一応避けられます。しかし20~30センチの人形5体を常に持ち歩くのは、護衛が必要になる頻度にそぐわない運用方法です。
現実的で有用なケースは一人暮らしの住居の警護です。不法侵入者は問答無用で攻撃しても問題ありません。
女性の一人暮らしの場合は空き巣だけではなく、留守中に侵入されて待ち伏せされたり、帰宅時に鍵を開けたのを見計らって押し入れられるのも心配です。こういった卑劣な犯罪から身を守るホームセキュリティーとして抜群の成果が見込めます。
おもちゃの兵隊の小銃は超小型とはいえ火器は火器ですから、銃刀法に抵触するおそれがあります。非がない人を攻撃してしまった場合は賠償責任が生じますし、相手に非があったとしても正当防衛が認められるとは限りません。
おもちゃの兵隊は、現行の法律では想定されていない未来の存在ですから、使用すると法的に不利な立場に陥る危険性を考慮するべきでしょう。
おもちゃの兵隊が攻撃を開始するハードルの低さを利用して、こちらから積極的に攻撃を仕掛けられます。
二足歩行ロボットの開発は日々進歩しているとはいえ、おもちゃの兵隊の域までにはまだまだ長い道のりが残されています。誰でも一目でおもちゃの兵隊が「あるはずのないもの」だと気づくでしょう。
攻撃性の高さも相まって、秘匿性はほとんどありません。
現代のテクノロジーを超越しているとはいえ、おもちゃの兵隊は荒唐無稽でもなく、いつかは実現可能になるでしょう。搭載されている人工知能においては特別賢いとはいえません。
おもちゃの兵隊は、社会に一足飛びの変化をもたらす存在ではないでしょう。
外出時に帯同するには向いていないという欠点があるため、おもちゃの兵隊を護衛につけられる場面は限られています。ホームセキュリティーにしても、あえてひみつ道具を持ち出すまでもなく、セコムやアルソックで十分だと思えます。
ということで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、おもちゃの兵隊の優先度は星
つです。