もしも「宝さがし機」をもらったら

ドラえもんがいやらしくニタついています。なにやらいい考えがあるようで、のび太から借りた100円玉を空き地の草むらに放り投げました。

なけなしの小遣いを捨てられて怒るのび太をなだめながら、ドラえもんがドヤ顔で取り出したひみつ道具が“宝さがし機”です。

機能と効果

ドラえもんの宝さがし機は、お宝を探す探知機です。

半径100メートル以内にお宝があると、「キンコーンカーン🔊」と鳴り出して、本体下部にコードでつながっている球体がその方向へ引っ張られます。

宝さがし機が「お宝」だと判定するのは、1,000円相当より高額の金品です。その価値が高ければ高いほどメーターの針が上がり、球体の引っ張る力が強まります。

有用性: ★★☆☆☆

うずもれたお宝なんて絵空事に過ぎない? いやいや、偶然に掘り起こされた国宝の漢委奴国王印(1)など、実例は枚挙にいとまがありません。

歴史から忘れられたお宝はまだまだ残っていることでしょう。そこで宝さがし機です。これがあればいとも簡単にお宝を発見――とはいきません。

なにせ宝さがし機は判定基準が緩い。金銭に換算して1,000円という下限は低すぎだし、人が持ち歩いている現金にも反応する始末です。

既存の金属探知機を使うよりずっと効率がいいとはいえ、胸を張って「お宝」だといえる物にありつくまでの道のりは、おそろしく長くなることでしょう。

単にお金が欲しいだけなら“フエール銀行”を選んだほうが話が早い。宝さがし機の真骨頂は、あくまで「宝探し」というロマンです。

(1)【参考】金印 | 福岡市博物館

危険性: ★☆☆☆☆

宝さがし機を使ってもまだ、財宝が見つかるとは限りません。くれぐれも一攫千金に目がくらんで人生を棒に振ってしまわないように。

悪用度: ★☆☆☆☆

発掘するにも、発見した物の所有権を得るにも、その国の法律にのっとった手続きが必要です。むやみやたらに宝探しにいそしむと、法を犯すことになるでしょう。

秘匿性: ★★★★☆

宝さがし機が既存の探知機を超えた存在であることは見た目にわかりません。秘匿性に関する問題は、けたたましい通知音が無駄に人目を集めるぐらいのものです。

革命度: ★★☆☆☆

我々の知る「歴史」の大半は、残された文献や遺物から読み取った史実の断片から紡がれた、いわば「歴史(仮)」です。したがって新たな発見があるたびに塗り替えられます。

それは――多分に大げさにいえば――世界の過去が変わるということ。宝さがし機は、そんな大発見をもたらしてくれるかもしれません。

まとめ

宝探しは夢があります。逆にいえば、夢のようにあてどもないことです。宝さがし機によって現実味を帯びてもまだ、成果をあげられる保証はありません。

これはすでに宝探しかそれに準ずる活動をしている人向けのひみつ道具です。なんの信念もなく漫然と宝さがし機をもらっても、持て余すばかりでしょう。

リサイクルショップなどで掘り出し物を探して転売する、いわゆる「せどり」に使う? それは確かに現実的だけど、ひみつ道具の使い道としてはいくらなんでも夢がなさ過ぎます。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、宝さがし機の優先度は星1つです。

道具名称:
宝さがし機
原作初出:
『ドラえもん』第15巻「珍加羅峠の宝物」
カテゴリ:
「た」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第15巻 / 探索
公開日:
2019年03月31日

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