子供の頃は仲のいい友達同士でくすぐり合いをしたりするけれど、思春期も過ぎて体に触れることの意味が分かってくると、今度は異性にじゃれつく目的でくすぐり合いをするようになったりするものです。
そんな話に関係あるようで、やっぱり関係のないひみつ道具が“くすぐりノミ”です。
ドラえもんのくすぐりノミは、くすぐることに特化したノミ型ロボットです
塩・コショウ入れのような容器に入っていて、対象者にふりかけると体に取りついてくすぐって笑わせます。激しく身もだえて自由に動けなくなるほどの強烈なくすぐりです。一定時間くすぐると活動を終了する消耗品です。
機能からするとくすぐりノミは実用品ではなく、いたずらや嫌がらせをするためのひみつ道具です。
しいて実用的に使うとしたら、護身目的でしょう。くすぐりノミを相手に取りつかせれば一時的に無力化させられますから、逃亡する時間を稼げます。ただし気をつけないとくすぐりノミが自分にも取りついてしまうので、使い勝手は悪そうです。
容器の作りが塩・コショウ入れと同じだから、不意にくすぐりノミをこぼしてしまうこともあるでしょう。また、超小型で軽量なくすぐりノミは風に吹かれると思いがけないところへ飛んでいってしまいます。
誤ってくすぐりノミを大量に浴びてしまうと悶絶するほど苦しいはず。とはいえ効果は一時的なので、致命的な痛手にはなりません。
くすぐられるのは「笑う」という反応とは裏腹にとても苦しいことです。くすぐりノミを人に使うのは苦しめることに他なりません。定期的にくすぐりノミを継ぎ足して効果を長時間継続させるのは、拷問といっても過言ではないでしょう。
失敗が許されない場面に直面している人にくすぐりノミを使って、失敗を誘発するのも悪質です。
人になにかをふりかけている姿は怪しさ満載です。かけられた直後に体中がくすぐったくなるのだから因果関係があるのも明らか。まさかそれがノミ型ロボットだとは悟られないにせよ、なにかをしたことがバレるのでは秘匿性があるとはいえません。
人をくすぐるだけのロボットでは世界を変えられません。しかしロボットということは機械装置ですから、ほかの荒唐無稽なひみつ道具と違って、くすぐりノミに使われているテクノロジーは解析できる可能性がとても高いはず。
作中の描写からしてくすぐりノミの体長は1mm未満です。これが解析できれば、小型ロボット開発の足掛かりとして大きな一歩となるでしょう。
外部寄生虫であるノミは、ほとんどの人にとって嫌悪の対象でしょう。たとえノミ型ロボットだとしてもあまりいい気分はしません。くすぐるという機能も必要性が乏しく、とてもニッチなひみつ道具です。
ドラえもんがくれると言っても、これはいらないかな。というわけで、もしもひみつ道具を一つもらえるなら、くすぐりノミの優先度は星
つです。