ドラえもんとのび太は海底火山を噴火させることになりました。そのいきさつはさておき、そんなとんでもないことでも可能にするのがひみつ道具です。
まずは海底深く眠るマグマを見つけなければ話が始まりません。そこでドラえもんが取り出したひみつ道具が“マグマ探知機”です。
ドラえもんのマグマ探知機は、マグマを探知する機械です。真下の地中にマグマがあると、「マグマグマグマグ」と音を鳴らして知らせます。
ドラえもんの「なるべく浅いところにあるマグマをさがすんだ」(1)という言葉から、探知する対象はマグマの中でも「マグマ溜まり」に限定されると推定されます。
(1)てんとう虫コミックス『ドラえもん』第9巻「無人島の作り方」より
ここ日本にある活火山の数は100座を優に超えます。マグマ溜まりを簡単に探知できるマグマ探知機は、噴火に備えるための観測にとても有益でしょう。
しかし未来の存在であるひみつ道具の信頼性を保証できる人は、この現代には誰一人としていません。そんな得体の知れない機械を、噴火という大災害に関する観測に公共機関が採用するわけにはいかないでしょう。
在野の一般人がマグマ探知機を手に入れても、どうにもなりません。
マグマ探知機にマグマを探知する以外の作用はいっさいないので安心して使えます。
マグマ溜まりは浅くても地中数キロメートルに位置します。見つけたところで、どうにかできるものではありません。
マグマ探知機を手に取ってわかるのは、なんらかの測定機だろうということだけです。まさか未来からもたらされたオーパーツだとは誰も夢にも思わないでしょう。
たとえマグマ探知機が未来のオーバーテクノロジーによる産物だとしても、しょせんは探知機。あくまでマグマ溜まりの場所を特定できるだけです。変革を起こすにはあまりにも不十分です。
探知機や測定機は専門性の強い機器です。その多くは特定の職業や趣味でしか使われません。探知対象がマグマとなればなおさらのこと、使う機会は限定されます。
大抵の人はマグマ探知機をもらっても、宝の持ち腐れになるだけでしょう。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、マグマ探知機の優先度は星
つです。