もしも「コエカタマリン」をもらったら

いつものようにジャイアンに泣かされたのび太がすごい泣き声を出しながら帰ってきました。

腕力も気の強さもジャイアンに負けているのび太は泣かされてばかりいます。唯一負けてないのは泣き声の大きさだけというありさまです。

それならその声を活かそうじゃないかと、ドラえもんが取り出したひみつ道具が“コエカタマリン”です。

機能と効果

ドラえもんのコエカタマリンは、声を固まらせる薬ですこれを飲んだ人が大きな声を出すと、その言葉がカタカナの形に固まって具現化します。

生成された文字ブロックは、元になった声の届く距離まで飛んでいきます。その飛行速度をのび太は「音速」と表現しました。しかし作中における描写からして、実際は音速よりはるかに遅いと推定されます。

効果の持続時間は不明。当サイトでは便宜上、4時間と仮定します。

有用性: ★★☆☆☆

コエカタマリンによる文字ブロックのサイズは、縦横1メートル、厚さ20センチほど。そして飛ぶ勢いがなくなって落ちてからも消滅せずに残り続けます。

「声を具現化する能力者」が登場するバトル漫画を読みたくなるような、わくわくする特性です。

のび太はというと、文字ブロックを踏み台にしたり、ジャイアンにぶつけて撃退したり、飛び乗って移動したりしました。八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍です。

でも我々の暮らす現代の世界では、こんな超常現象を大っぴらにはできません。

奇異の目にさらされる覚悟で使う? コエカタマリンは液剤の消耗品だから、やれることは限られます。はたしてその覚悟に見合うだけのリターンが得られるでしょうか。

危険性: ★★★☆☆

のび太としずかちゃんが普段着のまま文字ブロックに乗って飛んでも、なんの問題も起こりませんでした。飛行速度は高が知れているのでしょう。

よし、それなら安全――なわけない! 文字ブロックはただ勢いで飛ぶだけ。いっさい操縦できません。一度乗ったら身を任せるしかない飛行だなんて向こう見ずにもほどがあります。

のび太らが無事だったからといって、自分も大丈夫だと考えるのは浅はかです。のび太はなにがあっても最後まで生き残る「主人公」であることを忘れてはなりません。

そうでなくてもコエカタマリンの効果中は注意が必要です。なにせ大きな声は必ず文字ブロックになるから、なにかに驚いたりすると、
ワッ
みたいな文字ブロックが不意に飛び出ます。

文字ブロックをうっかり人にぶつけたりしないように気をつけましょう。

悪用度: ★★★☆☆

人ひとりを乗せて飛べるほどの運動エネルギーといったら、かなりの大きさです。そんなものが人の頭に直撃したら……。

秘匿性: ★☆☆☆☆

ただでさえ大声は人目を集めます。そこに文字ブロックという目に見える効果がリンクするのだから、コエカタマリンに秘匿性なんてありません。

革命度: ★★☆☆☆

声という「波」が文字ブロックという「物質」に変わる⁉ そんな馬鹿な! いや待てよ、「光」は波でありながら粒子でもあるし……。

ともあれコエカタマリンには我々現代人がまだ知る由もない超越的なテクノロジーが用いられています。

それなら1瓶のコエカタマリンでなにか世界を変えられるかというと、それはまた話が変わってきます。ペンは剣よりも強し。むしろ本来の言葉のほうが世界を変える力があるといっても過言ではないでしょう。

まとめ

コエカタマリンは藤子・F・不二雄先生らしい「すこしふしぎ」な想像力あふれる魅力的なひみつ道具です。

でも実際にひみつ道具の中から1つもらえるとして、これを選ぶに足りる理由は見いだせません。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、コエカタマリンの優先度は星1つです。

道具名称:
コエカタマリン
原作初出:
『ドラえもん』第12巻「声のかたまり」
カテゴリ:
「こ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第12巻 / / 飛行
公開日:
2019年03月20日

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