のび太のパパはお酒が大好きだけど、安月給で家計をやりくりしているからあまり飲めません。そんなパパに、たまにはたっぷり飲ませてあげたいと考えたのび太は、クリスマスにお酒をプレゼントすることにしました。
これに感心したドラえもんが取り出したひみつ道具が“ようろうおつまみ”です。
ドラえもんのようろうおつまみは、ただの水をお酒に変えるおつまみです。これを食べながら水を飲むと、口に入れた瞬間に美味しい上等なお酒になります。
その味をのび助は「ウイスキー」だと評しました。当サイトでは食べた人の好みに合わせたお酒の味になると仮定します。
岐阜県の「養老の滝」に伝わる「お酒と化した流水を親孝行の青年が見つけて、老いた父に飲ませてあげた」という伝説と、お酒の容器として使われていたヒョウタンの実がモチーフです。
ドラえもんからもらえる量は一皿24個とします。
「お酒なんて普通に買えるのに、なんでわざわざようろうおつまみを使うの?」というもっともな疑問に答えるとすれば、それは「遊び心があるから」でしょう。
厨房ではなく、客前でフランベするのと同じ。要するに演出です。味の感じ方は気分で変わるものだから、あながち無意味とはいえません。
そういった遊び心はギフトにぴったりで、「自分では買わないけれど、もらうとうれしい品」として重宝します。ただしそれは未来の世界での話。ようろうおつまみがまだ存在しないはずの現代でプレゼントするのはご法度です。
とどのつまりドラえもんからようろうおつまみを一皿もらっても、幾度か一人飲みして仕舞いとなります。
口に入れるまではただの水だから、ついつい酒量を見誤って飲み過ぎてしまうかもしれません。原作では、のび太のママが手に負えないほど酔っぱらってしまいました。
お酒は飲み過ぎると健康を害するどころか、「適度の飲酒は体に良い」とする定説すら疑問視(1)され始めていることを知っておきましょう。
ようろうおつまみに限らず、飲酒には節度が必要です。
(1)【参考】適量の飲酒も体に良くない? 定説に疑問 - AFPBB News
ようろうおつまみを人に食べさせて、勤務中に酔わせたり、飲酒運転をさせたりすれば、社会的信用を傷つけられます。
とはいえ水だと思って違うものを飲むと、予期していた味との違いに脳が混乱して、反射的に吐き出したりするものです。そのまま酔っぱらうほど飲み続けるのはよほど鈍感な人だけでしょう。
前述したように、ようろうおつまみは自宅での一人飲みが基本となります。食べたら終わりの消耗品であることも相まって、人知れず使い切れます。
佐藤食品工業が独自の製法でアルコール飲料を粉末化した「粉末酒」(2)を開発しています。これをヒョウタン形に成型すれば、ほぼ――仕組みは違えど結果は同じという意味で――ようろうおつまみです。
ただしこの「粉末酒」は一般販売されていないため、今一つ全貌がつかめません。疑問が残るものの、実現したひみつ道具の一つとして数えられるでしょう。
(2)【参考】粉末酒 - 佐藤食品工業
水をお酒に変えられるといっても、ようろうおつまみは食べればなくなる消耗品だから、無尽蔵に飲めるわけではありません。それに変化を面白がれるもの初めの数杯だけで、酔いが回ればすぐにどうでもよくなるのが目に見えています。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ようろうおつまみの優先度は星
つです。