もしも「取り消しゴム」をもらったら

「美容整形をして性格まで変わった」というのはよくある話。それだけ顔が自分を作っているわけです。こともあろうにその顔を消してしまうひみつ道具が“取り消しゴム”です。

機能と効果

ドラえもんの取り消しゴムは、顔のパーツを消す消しゴムです。

これで顔面をゴシゴシこすると、目と鼻と口と眉毛が消え去って、のっぺらぼうな顔になります。それでも各器官の生理機能は残っていて、見ることも嗅ぐことも、呼吸することもしゃべることもできます。

大きさがのび太の顔ほどもあるから、顔面をいっぺんにこすれます。

原作エピソード「消しゴムでノッペラボウ」では、のっぺらぼうになった顔面に新しい顔を書き入れられる“目鼻ペン”と一緒に登場しました。しかしセットだとは明示されなかったため、それぞれ個別のひみつ道具として扱います。

元の顔に戻す方法は不明。当サイトでは、目鼻ペンで完璧に再現するか、“タイムふろしき”で時間を戻すなど、別のひみつ道具を使わなければ元には戻せないと仮定します。

有用性: ★★☆☆☆

取り消しゴムでのっぺらぼうにするのはただでさえ怖いのに、二度と元の顔を取り戻せなくなる「もらえるひみつ道具は一つだけ」という条件下となれば、これはもう論外です。

でもあくまでそれはのっぺらぼうにした場合の話。そう、なにも顔を全部消さなくてもいいのです。

ホクロやアザや傷跡など、ない人にはないものは消してもなんら困りません。人によってはまるで無用なヒゲも同様です。

ただし、顔にできるアザの太田母斑(おおたぼはん)の治療も、ホクロの除去も、ヒゲの永久脱毛も現代の医術で可能です。手元が狂うと目や鼻や口を失ってしまうリスクを負う取り消しゴムを使うまでもないでしょう。

唯一の出番は、通常の治療では消しきれないケースも多い傷跡です。それも目鼻口にかかってない傷跡に限定されるため、手放しには使えません。どのみち取り消しゴム単体での有用性は頭打ちとなります。

危険性: ★★★★☆

取り消しゴムが目鼻ペンの下準備としてのっぺらぼうにするためのひみつ道具であることは、その大きさから明らかです。細部を消すのには向いていません。

それでも水疱瘡の痕などが一度気になると、そこだけ消したくなるものです。「自分は絶対にミスらない」という考えは危険な慢心です。もしも取り消しゴムを使うなら、図らずも目や鼻を失うおそれがあることをよくよく肝に銘じましょう。

悪用度: ★★★★★

顔は個人を特定する上でもっとも重要な要素です。その顔を奪い去ることは社会的抹殺に等しく、許されざる悪行です。

秘匿性: ★★★☆☆

のっぺらぼうは人に大きなインパクトを与えます。とはいえ、のっぺらぼうにする必要がそもそもないのだから、秘匿性を気にする必要もないでしょう。

革命度: ★☆☆☆☆

世界中すべての人をのっぺらぼうにしたならば、人が人を判断する基準が一新されます。今とはまるで違う社会になることでしょう。

だけれどそれは一つの取り消しゴムだけでは完遂できるはずもない空論です。

まとめ

それでなくても“モンタージュバケツ”などの「顔を変える」ひみつ道具を使うのは心理的障壁が高いのに、単体では元の顔を復旧できない取り消しゴムを誰が使うというのでしょうか。

人の顔を簡単に消してしまえるこんな物騒なものはこの世にないほうがいい。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、取り消しゴムの優先度は星0つです。

道具名称:
取り消しゴム
原作初出:
『ドラえもん』第8巻「消しゴムでノッペラボウ」
カテゴリ:
「と」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第8巻 / 人体 / 変化
公開日:
2017年04月08日

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