もしも「つけかえ手ぶくろ」をもらったら

のび太はせっかくお年玉をもらったのに、その金額に満足しませんでした。すこしでもお金を増やしたくて、どこかにお金が落ちていないかと下を向いて歩いているものだから、後ろから来た車に気がつかない始末です。

ドラえもんに注意されると、後ろには目がついていないから無理だと言って聞きません。それならとドラえもんが取り出したひみつ道具が“つけかえ手ぶくろ”です。

機能と効果

ドラえもんのつけかえ手ぶくろは、人体の各部位を付け換えられる手袋です。

この手袋をはめた手で人体の部位をつかむ(つまむ)と、そのまま「カポッ」と取り外せます。痛みや出血などはいっさい生じません。取り外した部位は体のどこでも自由自在に取り付けられます。そして器官として問題なく機能します。

たとえば目を外すと元の個所は「のっぺらぼう」のようにツルリとした状態になります。穴は開きません。その目を後頭部に付ければ、背後が見えます。また、取り外したままにしても部位は傷みません。

原作エピソードでは“人造目玉”などの人工臓器も登場しました。しかしそれらの人工臓器は、あとになって別途に“四次元ポケット”から取り出した物なので、つけかえ手ぶくろとは別のひみつ道具であるとして、本稿では考慮に入れません。

有用性: ★★☆☆☆

たとえ進化が偶然の積み重ねだとしても、必然的な結果へと緩やかに収束していくと考えられます。人体が今の形にひとまず落ち着いたのは意味があるはずです。

つけかえ手ぶくろで部位の配置を変えて、人体が現状より向上することはないでしょう。

ただし人の気持ちは理屈に基づく優劣だけでは語れません。舌の先を二股に切り分ける「スプリット・タン」などの身体改造に自らの意思で及ぶ人たちが少なからずいます。

心と体の折り合いがつかない人にとっては、つけかえ手ぶくろが「あるべき自分」になるための手助けになるやもしれません。

危険性: ★★★☆☆

血液の循環が止まった部位は通常なら壊死してしまいます。そういった問題をつけかえ手ぶくろは2112年以降の超常的テクノロジーで回避しているものの、故障などで機能不全に陥る危惧は否めません。

それに外した部位の取り扱いにも細心の注意が求められます。

人体を改造するのだから、それ相応のリスクを負う覚悟が求められます。

悪用度: ★★★★★

もしも生きたままバラバラされたら? 部位をデタラメにシャッフルされたら? 想像するだけで身の毛がよだちます。痛みがなくても精神的苦痛は生じます。

現代のテクノロジーでは元に戻せないのだから、つけかえ手ぶくろで無理やり人の体に手を加えるのは悪魔の所業です。

秘匿性: ★★☆☆☆

つけかえ手ぶくろを使う様子も、その結果も、度肝を抜くこと間違いなし。否が応でも注目を集めてしまいます。さりとてその光景を額面どおりに受け取る人がどれほどいるでしょうか。

Criss Angel BeLIEve: Criss Rips Bodies Apart (On Spike)

上記は有名な人体切断マジックの動画です。この動画主のクリス・エンジェルがマジシャンだと知らずに観た人でも、リアルガチの出来事だとは思わなかったはず。

嘘みたいな効力のつけかえ手ぶくろは、むしろ本当だと信じてもらうほうが難しいかもしれません。ネットにあふれかえっている「嘘みたいでやっぱり嘘のフェイク動画」と同じようなものだと認識されるでしょう。

もちろん、なかには「これはフェイクじゃない」と気がつく人もいるだろうから、人目を避けるのに越したことはありません。

革命度: ★★★★☆

いくらひみつ道具にしたって、つけかえ手ぶくろの効力は無茶苦茶が過ぎます。この世界を形作る法則の箍(たが)を外してしまうような、危うい存在です。

まとめ

人体の部位を付け換えるだなんて、表現の自主規制が緩かった時代に描かれただけに破天荒(誤用)な仕業です。あくまでもフィクションならでは。現実につけかえ手ぶくろを使う気には到底なれません。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、つけかえ手ぶくろの優先度は星0.5つです。

道具名称:
つけかえ手ぶくろ
原作初出:
『ドラえもん』第7巻「ねこの手もかりたい(手足七本目が三つ)」
カテゴリ:
「つ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第7巻 / 交換 / 人体
公開日:
2016年10月04日

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