スリルブーメラン

学校の裏山にあるひときわ高い木のてっぺんまで登ったジャイアンがみんなを呼び集めて自慢しました。そんなジャイアンを褒めたてるスネ夫をよそに、のび太はがっかりしたことを思わず口に出してしまいます。

ジャイアンは怒り心頭に発して、それならお前も登ってみせろとのび太に詰め寄りました。そしていつものようにのび太がドラえもんに泣きついて、出してもらったひみつ道具が“スリルブーメラン”です。

機能と効果

ドラえもんのスリルブーメランは、どこでも好きな場所へ一時的に瞬間移動できるひみつ道具です。15cmほどの小さなブーメラン形の端末と、モニター付きコントローラーで構成されています。

希望する滞在時間をブーメランのダイヤルにセットして、ポケットに入れるなどして身につけます。そしてコントローラーで位置と高度を調節して、モニターの照準を行きたい場所に合わせたら実行ボタンを押します。

するとブーメランを身につけている人がそこへ瞬間移動します。セットした滞在時間を過ぎると今度は元いた場所へ瞬間移動して戻ります。

滞在時間と移動距離の最大限度は不明です。滞在時間は設定ダイヤルが1秒単位だったことから最大で60秒、移動距離は地球上すべてが有効範囲(1)だと仮定します。

(1)2017年2月17日に放送されたアニメ版(第2作第2期)では、大気圏外まで移動しました。

有用性: ★★★★☆

ドラえもんによるとスリルブーメランは、危険な場所へちょっとだけ行ってスリルを味わうためのひみつ道具です。

例えば原作エピソードでは、目がくらむような高さの超高層ビルの屋上へのび太がスリルブーメランで行って、帰る直前のタイミングでそこから飛び降りたり(すごい勇気!)して楽しみました。

けれどスリルだけを目的とするのはもったいない。スリルブーメランは裏技的な使い方で更なるポテンシャルを発揮します。

ポイントは、効力の及ぶ対象が「スリルブーメランを身につけている人」なこと。つまり移動先でスリルブーメランを外せば、滞在時間が過ぎても起点に戻るのはスリルブーメランだけで、自分はそこにとどまれます。

携帯性と秘匿性に欠ける“どこでもドア”は「ひみつ道具を一つだけもらえる」という条件下での運用が厳しいため、移動先でひみつ道具を持ち歩くことのないスリルブーメランは転送装置として貴重な存在です。

目的地の状況をモニターで事前に確認することで、危険がつきまとう瞬間移動の安全性を高められる点でも優秀です。

瞬間移動の多大な有用性については語るまでもないでしょう。

スリルブーメランを持続的な転送装置に転用した場合、片道なのに加えて、秘密保持の面から起点が自宅に限定されるという制約を受けます。それでもなお十分な有用性が確保されるはずです。

危険性: ★★☆☆☆

瞬間移動は、転送先の状況しだいでは到着と同時に即死することすらありえる非常に危険な行為です。

けれど幸いなことにスリルブーメランは向こうの状況をコントローラーのモニターに映せます。それによる安全確認を怠りさえしなければ、瞬間移動のリスクを最低限に抑えられます。

悪用度: ★★★★★

スリルブーメランは行き帰りする対象物の質量や構成の変化を問いません。平たくいえば、なにかを持ち帰ったり、置いてきたりできます。これはとてつもなく恐ろしいことです。

置いてくるものが爆発物だったら? 持ち帰るものが人だったら?

スリルブーメランを用いた破壊活動や誘拐は、事前に知っていなければ防ぐすべがありません。武器や兵器の調達も容易になるから、スリルブーメランを手にした者が市井の人でも社会に混乱を引き起こせます。

そこまで大ごとでなくても、侵入盗や覗き見(建物内もモニターで見られる)等々、ありとあらゆる犯罪に加担します。

数多くあるひみつ道具の中でもスリルブーメランは最凶の部類に入るでしょう。

秘匿性: ★★★☆☆

のび太がスリルブーメランで海へ瞬間移動したとき、サメが服にかじりつきました。そのまま滞在時間が切れて起点に戻ると、なんとサメもついてきてしまったのです。

対象者の体や着衣に触れているだけでスリルブーメランの効力が及ぶわけです。人込みなど、誰かと体が触れる可能性のある場所だと、図らずも連れて帰ってしまうかもしれません。

スリルブーメランの起点が自宅だった場合、身元が完全にバレてしまうので、滞在時間中は慎重な行動が求められます。

瞬間移動する現場を目撃されるのは問題外。スリルブーメランを使うなら、目的地の様子をモニターでよくよく確認して、人目を避けることを忘れてはなりません。

革命度: ★★★★★

前述したように、スリルブーメランの力をもってすれば、社会秩序を瓦解させられます。

世界を直接改変する“ウソ800”や“ソノウソホント”などの例外的存在を除けば、スリルブーメランの世界に対する影響力はひみつ道具の中でもトップクラスでしょう。

まとめ

瞬間移動はその危険性と悪用性の高さから、事前に目的地の状況を確認できること、できるだけ人に知られず運用できること、この二点が必須です。スリルブーメランはこれらの条件を満たしています。

あとはここまでに述べたリスクとリターンをどう評価するか。便利さは随一だけれど、やはりリスクの高さが気がかりです。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、スリルブーメランの欲しい度は星3.5つです。

道具名称:
スリルブーメラン
原作初出:
コミックス第18巻「スリルブーメラン」
カテゴリ:
「す」から始まるもの / コミックス第18巻 / 悪用 / 移動
公開日:
2017年02月16日
更新日:
2017年02月17日

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