恐竜やらなんやらに追いかけられる危険な状況に陥ったドラえもんが、事態を収拾したいのに焦るあまり目的のひみつ道具をなかなか取り出せないのは『ドラえもん』のお約束です。
そんなとき、“四次元ポケット”から取り出したいのに取り出せない代表的なひみつ道具が“桃太郎印のきびだんご”です。
「キビダンゴ」とカタカナにする表記ゆれが見受けられます。
ドラえもんの桃太郎印のきびだんごは、おとぎ話の『桃太郎』に登場する団子を模したひみつ道具です。この団子を食べさせると、どんな動物でも瞬く間に人に懐きます。きわめて食いつきがよく、簡単に食べさせられるのも特色です。
用量は1個。効果の持続時間については作中で明示されていません。本稿では、桃太郎印のきびだんごが登場する複数のエピソードにおける描写から総括して、効果は永続するものとします。
ドラえもんからもらえる量は、便宜上50個入りの1袋とします。
ペットと飼い主が幸せな共同生活を送るために大切なこと、その一つがしつけです。しかし正しく動物をしつけるには、多くの知識と労力が必要となります。桃太郎印のきびだんごを使えば、その負担をぐっと減らせます。
特にイヌはしつけが重要ですから、お迎えする場合は桃太郎印のきびだんごが重宝するでしょう。
また、通常なら人に懐かない動物にも桃太郎印のきびだんごは効きます。パートナーシップを築ける動物の種類が増えるのは、動物好きにとって夢が広がる効果です。
消耗品のひみつ道具は、「ドラえもんのひみつ道具を一つだけもらえる」という条件下では不利となります。しかし一生できちんと飼えるペットの数は限られていることを鑑みれば、桃太郎印のきびだんごに関しては問題ないでしょう。
人が動物を飼うということ自体の是非はまた別の話です。
『ドラえもん』の作中では、猛獣に襲われたときにこれを食べさせて難を逃れようとすることがよくあります。これは日常生活では縁のない使い道ですし、背に腹はかえられないとはいえ、野生動物を無闇に人に懐かせるのも考え物です。
食べた動物が従順になる桃太郎印のきびだんごは、動物が人に危害を加えないようにして、安全性を高めるひみつ道具だといえます。
また、てんとう虫コミックス『ドラえもん』第16巻に収録された「宇宙ターザン」で、桃太郎印のきびだんごは人間が食べても支障ないことが明言されています。子供の誤飲などによる健康被害の心配はありません。
野生動物の捕獲や飼育は鳥獣保護法により規制されています。桃太郎印のきびだんごを使えば簡単に手なずけられるからといって、野生動物を許可なくペットにするのは違法行為です。
桃太郎印のきびだんごの見た目は普通のきびだんごです。その上、人間が食べても別段変わったことは起こりません。人に懐くはずのない動物を飼い慣らして周りに見せびらかしでもしない限り、ドラえもんのひみつ道具だとバレることはないでしょう。
桃太郎印のきびだんごに社会の在り方を変えるような使い道はないでしょう。
手塩に掛けてしつけるのは、ペットへの愛情を深めるのに必要な時間なのかなと思いつつも、一足飛びにパートナーシップを築けるはやっぱり魅力的です。
それでも「もしもドラえもんのひみつ道具を一つだけもらえるとしたら」の選択肢としては決め手に欠けます。というわけで、桃太郎印のきびだんごの優先度は星
つです。