せっかくのび太が珍しく自主的に勉強しているのに、ハエが周りをブンブン飛び回って集中できません。
するとそこに1機のラジコン飛行機が飛んできてハエを撃ち落としました。よく見ると小さくなったドラえもんが乗っています。それはラジコン飛行機ではなく、ひみつ道具の“ミニ飛行機”だったのです。
ドラえもんのミニ飛行機は、実際に搭乗して空を飛べるミニチュアの飛行機です。
これに乗り込もうとすると、体がどんどん小さくなって、スポッとコックピットに収まります。コックピットから出ると、体がぐんぐん大きくなって、元に戻ります。
操縦桿とペダル式のアクセルとブレーキだけで操縦できるお手軽仕様です。のび太でもすぐ自由自在に操れたことから、自動制御によってアシストされていると推定されます。
ほかにも、対ミニ飛行機用の機関砲と、緊急脱出用の射出座席が装備されています。
原作エピソード「大空中戦」には、4タイプの機体が登場しました。
この中から選んだ1機をドラえもんからもらえるものとします。
作中での扱われ方や装備からしてミニ飛行機は空中戦を楽しむためのおもちゃだけど、ドラえもんからもらった1機だけでは対戦相手を用意できません。
それでも遊覧飛行は楽しめます。“タケコプター”の浮遊感とはまた違う、飛行機ならではの風を切るスピード感が味わえるでしょう。
また身一つで飛翔するタイプのひみつ道具だと一目で超常性がバレるのにひきかえ、一見ラジコン飛行機にしか見えないミニ飛行機なら、そこまで人目に神経質にならなくても大丈夫。これも大きな利点です。
ただしミニ飛行機から降りて元の大きさに戻るところを見られるのは論外だから、移動手段として日常的に使うのは無理があります。
実用性はさておき、ホビーとしては最高の部類に入るでしょう。
作中の描写から、ミニ飛行機の最高速度は時速40km程度だと推定されます。ラジコン飛行機としてはひかえめな速度とはいえ、人にぶつかればただでは済みません。
当たり所によっては、被害者が転倒した勢いで頭を打って死亡することすらあるでしょう。
事故を起こしても射出座席で自動的に脱出できるからといって、調子に乗って無謀な飛行を続ければ、いつか人を死なせてしまうかもしれません。
ミニ飛行機の機関砲で手を撃たれたジャイアンのリアクションは「いて」と声を上げただけでした。人を負傷させるほどの威力はないようです。
そうだとしてもミニ飛行機で人を撃つことは正当化されません。
ドローンの普及によって2015年に航空法が改正され、無人航空機の飛行ルールが制定されました。人口集中地区の上空にラジコン飛行機などを飛ばす際には、事前に許可をとることが義務づけられています。
市街地の上空にラジコン飛行機(に見えるミニ飛行機)が無許可で飛んでいたら、通報は免れません。
また市街地にはそこかしこに監視カメラが設置されています。下手にミニ飛行機から降りると、言い訳しようのない決定的な場面を録画されてしまいます。
いくらミニ飛行機がラジコン飛行機に見えるからといっても、むやみやたらには使えません。
ミニ飛行機は諜報活動に使えなくもないけれど、一般人が1機のミニ飛行機を手に入れたところで、いったいなにができるというのでしょう。
空を飛べるひみつ道具はその性質上、どれも秘匿性に難があります。そんな中でミニ飛行機は比較的人目を欺きやすい構造です。
「空を自由に飛びたいけど、未来のテクノロジーを手に入れたことがバレて面倒に巻き込まれるのはごめんだ」という慎重派にとっては貴重な選択肢になります。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ミニ飛行機の優先度は星
つです。