ゴム風船が空気を吹き出す反動で空を飛ぶスペースシャトルのペーパークラフトを自作したのび太は、最終的にはこれの大きいのを作って宇宙へ飛び出すつもりだとドラえもんに息巻きました。
このアイデアを聞いたドラえもんが笑い転げたばかりに、のび太はすっかりすねてしまいます。そこでドラえもんがのび太の機嫌を直すために取り出したひみつ道具が“ロケットストロー”です。
ドラえもんのロケットストローは、吹き込んだ息がものすごい勢いで噴出されるストローです。その力はロケットエンジンに匹敵します。
作中では、噴出する反動で推進力を得て舞い上がって、翼もないのに思いどおりに飛行しました。逆に反動を受けずに、自分は止まったまま物を吹き飛ばしもしました。
これらのことから、ロケットストローはただ息を増幅して噴出するだけではなく、使用者の考えを読み取って、未知の力で姿勢制御を行う機能も備わっていると推測されます。
ロケットストローで空を飛んでいるあいだは、一瞬で息を吸って、ゆっくり吐きだす呼吸を続けなくてはなりません。これは結構きつい。
体力も肺活量も問わずに飛べる“タケコプター”がある以上、ロケットストローの真価は「風圧で吹き飛ばす」ほうでしょう。
ゴミを吹き飛ばしたり、洗車の水切りをしたり。超強力なのに静音で、しかもコードレスだからブロワとして飛び切り優秀です。こと静かさは現存するブロワとは比べものになりません。
とはいうものの、どれだけ優秀でもブロワはブロワ。ひみつ道具を持ち出すほどの必要性は見いだせません。
もしもロケットストローで飛んでいるときに、むせてしまったら? 呼吸の乱れは墜落の危機につながります。
のび太なんてロケットストローをくわえたまま笑ったものだから、口から落としてしまいました。もちろん真っ逆さまに墜落。一緒に飛んでいたドラえもんに助けてもらったからいいものの、単独飛行なら死んでいました。
突然のくしゃみなどでロケットストローを落とす事故だって考えられます。かなりリスクの高い飛行方法となります。
ロケットストローの威力は絶大です。人間くらいなら軽々と吹き飛ばせます。
歩道から車道へ、ホームから線路上へ。監視カメラに録画されても、突風にあおられた不幸な事故としか映らないでしょう。
ロケットストローで日中に空を飛んだ場合の秘匿性はなきに等しいでしょう。UMA「フライングヒューマノイド」が現れたと騒ぎになって、撮影された映像から身バレ一直線です。
ブロワとして使う場合も、あまりじっくり見られるのは厳禁です。
空を飛んでも、なにかを吹き飛ばしても、それだけでは世界は変えられません。一本のロケットストローでなせることはたかが知れます。
ただ空を自由に飛ぶだけならタケコプターのほうがよっぽど優れものだし、ブロワは現存するもので十分です。どうしてもロケットストローでなければ、というほどの特別な価値はありません。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ロケットストローの優先度は星
つです。