もしも「ふわふわぐすり」をもらったら

のび太が凧(たこ)揚げをして遊んでいます。いつもは凧をろくすっぽ飛ばせないのに、今回は珍しく空高く揚げられました。それがうれしくてどんどん高く飛ばしたせいで、糸が切れてしまいました。

するとどうでしょう。なぜか凧が雲に入ったまま落ちてこないのです。スネ夫から借りた凧だから、そのまま放ってはおけませんそこでドラえもんが出してくれたひみつ道具が“ふわふわぐすり”です。

機能と効果

ドラえもんのふわふわぐすりは、フワフワと空を飛べるようになる薬です。

これを服用すると、体内に特殊なガスが発生して、体が空気より軽くなります。その状態で鳥のように羽ばたくとスウッと上昇して、止めるとフワリフワリと下降します。

ガスはゆっくりと抜けていきます。原作における時間経過から、1時間程度で抜け切ると推定されます。

用量は1回1錠。内容量は180錠と仮定します。

有用性: ★★☆☆☆

ふわふわぐすりを使って空を泳ぐように飛ぶのはさぞかし気持ちいいことでしょう。

ただしその快楽と引き替えに「空飛ぶ人間」として一躍有名になってしまいます。自己顕示欲も満たせて一石二鳥? いやいや、世の中そう甘くはないでしょう。

人が異分子を排除してきた歴史的事例は枚挙にいとまがありません。身一つで空を飛ぶという「人間離れ」した業をなす人を、人は正しく「人」として扱うでしょうか。

危険性: ★★★★☆

ふわふわぐすりによる飛行はその性質上、強風にあおられやすいでしょう。風が強くなってきたと感じたら、即刻着陸するべきです。さもないと高圧線に引っかかるなどの致命的な事故を起こしかねません。

用量を守らなかった場合は問題外。いっぺんに何錠も服用すると浮力が必要以上に強まって、自力で下降できなくなり、上昇し続けてしまいます。

気圧が下がれば浮力も弱まるので、大気圏からは出ないと考えられます。しかしその急激な減圧に人体は耐えられません。ガスが抜けて下降し始めるより早く、死が訪れるでしょう。

悪用度: ★★★★☆

ふわふわぐすりは薬といっても、噛んで飲めるタイプなので、嫌な味はしません。粒も小さいから、なにかに混ぜて人に飲ませても気づかれないでしょう。

複数錠のふわふわぐすりを盛られた人は、なすすべもなく大気圏の上層まで急激に浮かび上がって窒息。ガスの抜けた死体が外洋に落ちれば「神隠し」、市街地に落ちれば「空から死体が降ってきた怪事件」となります。

なんにせよ常識外れの不可解な事件です。解明されることはないでしょう。

秘匿性: ★☆☆☆☆

飛んでいるのを誰かに見られたら最後、ふわふわぐすりのフワフワした遅い飛行速度では、じっくり観察されてしまいます。スマホで動画も撮影されるでしょう。おまけにガスが抜けてきたら否が応でも着陸しなければなりません。

日中を避けて夜の闇に紛れること。覆面などで顔を隠すこと。この二点はマストです。

実際のところ「空飛ぶ人間」がいたとして、身元が割れるまでにどれくらいの時間がかかるのか、それともそもそも身バレしないのか……。意外なドラマが待ち受けているかもしれません。

革命度: ★★☆☆☆

ふわふわぐすりは消耗品だから、どのように使うにしても限度があります。1個だけでは世の中は変えられません。

まとめ

ふわふわぐすりの「身一つでフワフワと浮かぶように空を飛ぶ」という特性は、夢の中で空を飛んだときの浮遊感を思い起こさせます。これはとっても魅力的。

だからといって、機動性も兼ね備えた“タケコプター”を差し置いて、「一つだけもらえるひみつ道具」としてふわふわぐすりを選ぶかというと……。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ふわふわぐすりの優先度は星2つです。

道具名称:
ふわふわぐすり
原作初出:
『ドラえもん』第11巻「雲の中の散歩」
カテゴリ:
「ふ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第11巻 / 飛行
公開日:
2018年01月25日

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