もしも「穴ほり機」をもらったら

藤子・F・不二雄先生は「自分だけの秘密のトンネル」に憧れを抱いていたようで、これをモチーフとした物語を繰り返し描きました。その一つが『ドラえもん』の「地下鉄をつくっちゃえ」です。

会社へ直通するプライベート地下鉄をお父さんへプレゼントしようと、のび太がひみつ道具の“穴ほり機”を使って奮闘するのですが……。

機能と効果

ドラえもんの穴ほり機は、ドリルで穴を掘りながら地中を進む乗り物です。

定員は2名。穴を掘った際に出る土砂は謎の力で消滅するようです。防水性能も高く、地下水に浸かっても問題ありません。固い岩盤を掘るのは苦手で、すぐにオーバーヒートしてしまいます。速度はのび太曰く「のろいね」とのこと。

ちなみに穴ほり機には、グレードアップされた姉妹品の“地底探検車”があります。地底探検車はスピードも速く、固い岩盤をものともしません。

有用性: ★☆☆☆☆

速度が遅いので、穴ほり機は移動するために使うのは向いていません。その名のとおり、あくまで穴を掘るためのひみつ道具です。

しかし、穴ほり機が必要になるほど大規模な穴を掘る機会が日常生活で果たしてあるでしょうか? せいぜいガーデニングで掘るくらいで、シャベルを使えば十分な規模にとどまるはずです。

仮にトンネルを作るにしても、壁面を補強しなければ崩れてしまうので、穴ほり機だけでは完成させられません。

個人ユースで穴ほり機が有用となる場面は、まずないでしょう。

危険性: ★★★★☆

無暗に穴ほり機で掘り進めると、地中を通っているガス管や電力ケーブルなどのインフラ設備を破壊してしまい、都市機能がマヒするおそれがあります。特にガス管の場合はガス爆発が起こって、大惨事になるでしょう。

ガス爆発の直撃に耐えられる強度が穴ほり機にあるとは思えません。都市部を掘り進めるのは、かなりの危険性が伴います。

また、天然ガスや地下水などが噴き出ることも大いにあり得るので、穴ほり機がオーバーヒートで故障してしまうと、生きて帰れないかもしれません。

悪用度: ★★★☆☆

インフラ設備の破壊、ガス爆発の誘発……。前項の危険性は、そのまま悪用でもあります。浅い深度を掘りまくれば地盤沈下も起こせるでしょう。穴ほり機は、都市部の破壊活動にうってつけのひみつ道具です。

ほかに考えられる犯罪絡みの穴掘りとして死体遺棄が挙げられます。しかし、穴ほり機で開けた穴は大きいうえに、掘り出した土砂が消えるので、埋めなおすのが困難です。なにかを埋めて隠す穴を掘るのにはあまり向いていません。

秘匿性: ★☆☆☆☆

穴ほり機は重機ですから、重量もサイズもかなりのものです。家の中にはとても入りません。人目から隠すには、シャッター付きのガレージか、庭の地中に駐車することなります。それらがある一戸建ての住居でないと所有は難しいでしょう。

うっかりインフラ設備を破壊すれば捜査は避けられません。掘った穴は崩れるまで残るので、見つかるのは時間の問題です。“四次元ポケット”がなければ、穴ほり機を秘匿して運用するには無理があります。

革命度: ★★☆☆☆

トンネル施工に現在使われているシールドマシンのほうが、穴ほり機よりも技術的に進んでいます。掘削機としては、穴ほり機の革命度はゼロに近いでしょう。

とはいえ、穴を掘った際に出る土砂が消滅する機能はすこぶる革命的です。 (もしかしたら、穴の壁面に押し固めているだけかもしれないけれど)

まとめ

野比家のプライベート地下鉄は、一旦は完成したものの、公共の地下鉄と路線が交差してしまって、破棄せざるを得ませんでした。

地下鉄工事の作業員に「こまるよ、かってにほっちゃ」と叱られるだけでのび太たちは済んだけれど、実際には逮捕されたり損賠賠償を請求されたりと大変な目に遭うことでしょう。

そうなっては困るし、有用な使い道もこれといって見いだせない。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、穴ほり機の優先度は優先度は星0.5つです。

道具名称:
穴ほり機
原作初出:
『ドラえもん』第2巻「地下鉄をつくっちゃえ」
カテゴリ:
「あ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第2巻 / 地中
公開日:
2014年10月01日

あわせて読みたい

広告