お小遣いを減らされたドラえもん(1)とのび太は、そのことでママに文句を言おうとしました。けれどママが「家賃が値上がりしてお金が足りない」という話をパパにしているのを聞いて諦めました。そう、野比家は借家なのです。
それなら自分たちの新しい島を作ってしまえ! なんていう突飛な思いつきを実現するために使ったひみつ道具が“強力岩トカシ”です。
(1)ドラえもんは野比家からお小遣いをもらって、それでひみつ道具を買ったり借りたりしています。詳しくは「ドラえもんのひみつ道具は安物の使い捨てだった⁉」へ。
「強力岩とかし」とする表記ゆれが見受けられます。
ドラえもんの強力岩トカシは、地殻をやわらかくするひみつ道具です。
本体は全高2メートルほどの注入機です。これを地面に注射すると、瞬く間に地殻が液状化します。
登場エピソードの「無人島の作り方」における描写から、強力岩トカシが注射しているのは特殊な液剤で、効果範囲は半径100メートル以下だと推測されます。
ドラえもんからもらえる強力岩トカシには、1回分の液剤が充填されているものとします。「もしもひみつ道具を一つだけもらえるとしたら」という条件下なので、この液剤の補充はできません。
原作では海底火山を噴火させて新たな島を作るために強力岩トカシを使いました。自国の領土が増えることは、国民にとっての恩恵となります。
しかし海底火山の位置の特定して、そこに強力岩トカシを設置するのは一個人では不可能です。ひみつ道具をいくつも使えるドラえもんたちのようにはいきません。
“マグマ探知機”や“テキオー灯”もなしに強力岩トカシだけをもらっても、どうすることもできずに置き場所に困るだけでしょう。
強力岩トカシの効果範囲は局地的ではあるけれど、効力が効力なだけに、そこから連鎖的に影響が広がる可能性は大いにあります。
厚さ平均30キロメートル強だと計測されている大陸地殻が一気に液状化したならば、それを皮切りに未曽有の大災害を引き起こすやもしれません。
日本列島にある巨大カルデラ火山が破局噴火を起こせば、日本消滅に等しい被害が出ると予想されています(2)。
はたして強力岩トカシで破局噴火を起こせるかは不明だけれども、大規模な破壊活動に用いる「兵器」となり得ることだけは確かです。
(2)【参考】“日本消滅”レベルの巨大噴火、今後100年内に発生確率1% - ITmedia NEWS
ひとたび強力岩トカシを起動したなら、液状化した直下の地面に強力岩トカシは飲み込まれます。これは完璧な証拠隠滅です。
海外でも報道されるような大ごとになったとしても、強力岩トカシの存在を知られることはないでしょう。
もしも破局噴火を起こせるのなら、それはつまり「この国をリセットできる」ことを意味します。
そればかりか、破局噴火を起こせば地球規模の超大災害になると予測されているイエローストーン火山(アメリカのイエローストーン国立公園)なら、リセットされるのは「現代社会」です。
それを「革命」と呼ぶかはさておき、社会の在り方を変えるほどのインパクトを与えることに違いはありません。
地表からマグマ溜まりまで貫通する穴をうがつだけで本当に即噴火するのか、専門家の意見を聞きたいところです。
噴火が起こらないにしても、強力岩トカシの危険性は見過ごせません。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、強力岩トカシの優先度は星
つです。