ひみつ道具には、実用的なもの以外にも、未来における子供の遊び道具だと思われるものが多くあります。“動物変身ビスケット”も実用性に乏しいひみつ道具の一つ。はたして現実的な使い道が見いだせるでしょうか。
ドラえもんの動物変身ビスケットは、動物に変身できるビスケットです。
いろんな動物の形をしたこのビスケットを食べると、その動物を擬人化した容姿になります。動物そのものではないので、体格や姿勢はほとんど変わりません。
食べてから効果が現れるまで少しタイムラグがあります。変身はおよそ5分で解けて元の姿に戻ります。
動物それぞれの特性を得られるわけでもなく、ただ容姿が動物っぽくなるだけでは、これといった有用性は見いだせません。
動物変身ビスケットは5分しか効果が持続しない上に、消耗品で数が限られているため、動物への変身願望を持つ人にとっても満足できる代物ではないでしょう。
短時間で体を劇的に変形させるなんて怖すぎます。たとえ未来の科学技術によって安全性が保障されていたとしても、万が一の事故が起こらないとは限らないでしょう。
ただし影響を受けるのは動物変身ビスケットを食べた本人だけだから、仮に健康被害が出たとしても周囲に波及する危険性はありません。
悪用方法といっても、せいぜい人を驚かすイタズラくらいのものです。悪質な犯行には使えないでしょう。
変身後の姿は、かぶりものや特殊メイクをした人に見えなくもないし、動物変身ビスケットの見た目は、よくあるビスケットです。変身する過程を見られなければ、いくらでもごまかせます。
とはいえ人に変身を見せびらかさずに一人きりで使っても面白くない、というジレンマに陥りざるを得ません。
身体を変化させる。つまり細胞を目的どおりに再構築しているわけだから、ES細胞やiPS細胞をはるかにしのぐ、革命的な科学技術です。
だからといって動物変身ビスケットが1缶あったところで世界は変わりません。
動物変身ビスケットが初登場する原作エピソード「変身ビスケット」では、ネコ人間に変身したのび太にドラえもんが「あんなものかってに食べるやつがあるか」と言い放ちます。「あんなもの」をのび太の部屋に置いてたのはドラえもんなのに!
『ドラえもん』の世界観でも、動物変身ビスケットは大したものではないという表れでしょう。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、動物変身ビスケットの優先度は星 つです。