室内旅行機

暮れなずむビーチで波の音を聞きながら、のび太とドラえもんがのんびり過ごしています。どこの南の島かと思いきや、ドラえもんがなにやら小さな装置のスイッチを切り替えると、一瞬で風景がジャングルに変わりました。

そこはビーチでもジャングルでもなく、ひみつ道具の“室内旅行機”で風景を変えたのび太の部屋だったのです。

名称

「室内旅行機」は、てんとう虫コミックスに初登場したときの名称です。公式ガイドブック『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』では「立体映写機」という名称も併記されています。ほかにも「実景プラネタリウム」と呼称されることもあります。

機能と効果

ドラえもんの室内旅行機は、いろいろなロケーションの立体映像と環境音を出すことで、部屋に居ながらにして旅行気分を味わえるひみつ道具です。

現実と見分けがつかないほど優れた立体映像で周囲の視覚的な環境を上書きして、元からある壁や家具などを目に見えなくすることで、あたかもそこが旅先かのように錯覚してしまう仮想現実を作り出します。

その種類は「アフリカのジャングル」や「大浴場」「旅館の宴会場」などなど、バラエティーに富んだロケーションが用意されています。リストは不明のため、本稿では便宜上あらゆるロケーションを網羅していると仮定します。

双方向性(対話性)はありません。あくまでもただの環境映像です。

室内旅行機本体の全高はおよそ20cm。重量も軽く、簡単に持ち運べます。名称に「室内」とありますが、野外でも問題なく機能します。

有用性: ★★★☆☆

図書館で勉強するのは参考書を借りられるからではないし、カフェで仕事するのは美味しいコーヒーを飲めるからでもないでしょう。人は良くも悪くも雰囲気に流されるものだから、視覚的な環境は大事です。

たとえば室内旅行機による南国のビーチでのんびり読書にふければ、それが仮想現実だとしても、いつもの自宅の眺めで過ごすよりもリフレッシュ効果は高いはず。セルフコントロールをサポートするひみつ道具として活躍が期待できます。

しかしながら仮想はしょせん仮想であって、現実の代替手段に過ぎません。ドラえもんのひみつ道具には、瞬間移動を実現する“どこでもドア”や“E・S・P訓練ボックス”もあります。

好きな場所へ実際に一っ飛びで行けるひみつ道具を差し置いて、室内旅行機をあえて選ぶ理由があるとしたら、それは「手軽さ」でしょう。瞬間移動が抱えているようなリスクとは室内旅行機は無縁です。

危険性: ★★☆☆☆

室内旅行機の「実際にそこにある物は見えなくなる」という特性は意外と厄介です。

タンスの角に足の小指をぶつけたときの痛みたるや! それで骨折してしまった経験談がググるとずらずら出てくるほどだから、「あるあるネタ」だと笑って済ませらません。

見える物にだってぼんやりしていると体をぶつけてしまうことがあるのに、見えない物ならなおさらです。室内旅行機の使用中は、それが仮想現実だとうっかり忘れてしまわないようにしないと、思わぬケガをするでしょう。

悪用度: ★★☆☆☆

前項の「室内旅行機の立体映像で隠された物に体をぶつける」という問題は、状況さえ把握していれば回避できます。では、室内旅行機の存在や、実際の環境を知らなかったとしたら?

足を踏み外せば転落死を避けられないような場所に室内旅行機を起動しておいて、そこへ人が行くように仕向ければ……。

秘匿性: ★★★☆☆

ほかのひみつ道具ほどではないにしろ、オーバーテクノロジーであることに違いはないので人前では使えません。とはいえ、自宅で一人で楽しむのが室内旅行機の基本的な使い方ですから、秘匿性はとくに問題とならないでしょう。

革命度: ★★★☆☆

漫画『ドラえもん』に室内旅行機が登場してから40年以上たった今でも、どの角度から見ても破綻しない立体映像は開発途上の技術です。室内旅行機ほどの完成度に到達するのはいったいいつになることやら。

室内旅行機は実現できそうでなかなか実現できない、革新的な存在です。もしも実現したならば、エンターテインメントに革命が起こるでしょう。

ちなみに2015年に富士ゼロックスが「四次元ポケットプロジェクト(1)」と称して、室内旅行機を製作したけれど、それは立体映像ではなく、ただの360度パノラマ映像を投影する装置でした。

(1)残念ながらプロジェクトの公式ページは公開終了。現在はもう見られません。

まとめ

持っていたら持っていたで使用頻度が高そうな室内旅行機だけれども、ひみつ道具にしては機能が当たり前過ぎて、面白みに欠ける気もします。

どうせならもっとずば抜けた物を選びたいというわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、室内旅行機の優先度は星1.5つです。

道具名称:
室内旅行機
原作初出:
コミックス第6巻「温泉旅行」
カテゴリ:
「し」から始まるもの / コミックス第6巻 / 体験
公開日:
2016年03月27日
更新日:
2017年03月04日

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