もしも「細胞縮小き」をもらったら

ある日、のび太が帰宅すると部屋に恐竜が! もちろんドラえもんの仕業です。なんでも、ひみつ道具の“細胞縮小き”を使って恐竜狩りをしてきたらしいのですが……。

機能と効果

ドラえもんの細胞縮小きは、生物を小さくする光線銃です。どんな物体でも小さくできる“スモールライト”とは違って、細胞で構成されていない無生物には効果がありません。

射程は20メートル。繰り返し当てるとどんどん小さくなります。ただし小さくし過ぎると元へ戻せなくなるので注意が必要です。大きさを戻す方法は作中では描かれませんが、スモールライトと同様に解除光線が出せると推定されます。

有用性: ★★☆☆☆

細胞縮小きが登場するエピソード「恐竜ハンター」では、“タイムマシン”で中生代へ行って恐竜を生け捕りにする恐竜狩りに使われました。ドラえもんによると恐竜狩りは未来の世界で流行しているスポーツで、捕まえた恐竜はペットにするそうです。

「セワシくんと恐竜がりに行ってきたんだ」とうれしそうに話すドラえもんですが、藤子・F・不二雄先生はのちに考えが変わったようで、大長編『ドラえもん のび太の恐竜』で恐竜狩りは犯罪行為だと改められました。

現代には恐竜はもちろんいませんし、そもそも狩猟は法律で厳しく制限されています。細胞縮小きを狩猟で使うのは合法とはいいがたいでしょう。

ペットを小さくするのも随分と利己的です。けれども飼いきれなくなって捨ててしまう(カメなどのどんどん大きくなる動物でよく聞く話です)よりは、小さくして飼いつづけたほうがマシかもしれません。

もちろん、細胞縮小きなど使わずに責任を持ってそのまま飼うのがベストです。動物の種類や環境によっては小さくされることが多大なストレスになるだろうから。

植物は(現在解明されている限り)意思を持っていないので、鑑賞用に小さくしても問題ないでしょう。満開の桜をリビングに飾るなんてことも可能です。

スモールライトは生物以外も小さくできる代わりに効き目に制限時間があります。よって、生物を永続的に小さくしたい場合は細胞縮小きのほうが有用です。

危険性: ★★★☆☆

こびとになった人間が外を出歩けば、野良ネコやカラスに殺されてしまうかもしれません。人間の背丈ほどの高さでも、落ちれば命はないでしょう。普段は気に留めない身近な存在が、こびとにとっては脅威となります。

安全性を考慮するなら、人間を小さくするべきではないでしょう。

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著:
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発売日:
2015年09月03日
発売元:
ぶんか社

また、小さくし過ぎると元の大きさに戻せなくなってしまうことを忘れてはいけません。元へ戻す予定のある対象に使う場合は、細心の注意が必要です。

悪用度: ★★★★☆

動植物を小さくすれば、密輸するハードルが下げられます。ただし、元へ戻すためにはある程度の大きさにとどめなくてはいけないので、リスクをゼロにはできません。あらゆる税関検査をスルーできる“どこでもドア”と比べたらかわいいものです。

細胞縮小きが本領を発揮する悪用は人を撃つことでしょう。目に見えないほど小さくしてしまえば、死んだのも同然です。

死体はおろか血も見ずにこの世から存在を抹消できるので、ほかの殺傷方法よりも心理的抵抗が弱いのが恐ろしい点です。実感が湧かないとタガが外れて、気に入らない人を片っ端から抹消し始めるなんてことになりかねません。

ライトではなく光線銃なだけあって、細胞縮小きはかなり物騒なひみつ道具です。

秘匿性: ★★★☆☆

細胞縮小きは外見がおもちゃの光線銃なので、目にしたら思わず手に取って撃ってみたくなる人は多いはず。気を引くものだけに、保管場所は慎重に選ばなければなりません。

使用時にはかなり派手な光線が出る上に、効果も劇的です。人前でバレずに使うのは不可能に近いでしょう。

人目を避けて保管・使用する分には秘匿性に問題ありません。

革命度: ★★★☆☆

生物を自由自在に小さくできるのだから、革命性は文句なし。しかし、対象が生物だけという制限を踏まえると、スモールライトに一歩劣ります。

まとめ

ペットショップで子ガメを見ると「かわいいな、飼いたいな」と思うけど、すぐに大きくなるのを知っているのでお迎えはしません。でも細胞縮小きがあれば……。いやいや、やっぱりそれはエゴが過ぎるというもの。

生物を変化させるのはどうにも気が引けるし、小さくしたいのは無生物のほうが多い。とういわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、細胞縮小きの優先度は星1つです。

道具名称:
細胞縮小き
原作初出:
『ドラえもん』第2巻「恐竜ハンター」
カテゴリ:
「さ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第2巻 / 大きさ
公開日:
2014年11月01日

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