ジャイアンとスネ夫だけならまだしも、しずかちゃんまで一緒になって、のび太はイタズラで笑い者にされてしまいました。これにドラえもんが「許せない‼」と腹を立てて、仕返しするために取り出したひみつ道具が“いたずらオモチャ化機”です。
ドラえもんのいたずらオモチャ化機は、なんでもジョークグッズに変えてしまえる、拳銃形のひみつ道具です。これをなにか物へ向けて引き金を引くと「ピ・ピ」と音がして、ターゲットがすぐさまジョークグッズと化します。
たとえば原作エピソードでは、シートクッションはブーブークッション(オナラの臭い付き)に、チューインガムはかめばかむほど口の中で膨らむガムに、椅子は座るとポンポン飛び跳ねる椅子に、それぞれ変化しました。
ただしドラえもんによると「どんな結果になるかは、やってみるまでわからない」とのことなので、必ずしも同じジョークグッズになるとは限らないようです。
ジョークグッズと化しても外観はいっさい変化しません。人が一度引っかかると、効力が消えて元の状態に戻ります。
イタズラやイジリはイジメと紙一重です。やる側とやられる側が対等な立場にあり、またお互いに信頼関係が築けていて初めてイタズラやイジリが成立します。
バラエティ番組におけるそれはあくまで見世物です。格闘技が興行として成り立っているからといって暴力が正当化されないように、バラエティ番組のイタズラやイジリも無暗にマネしてはいけません。
そういったことを十分理解したうえでルールを守って使う分には、いたずらオモチャ化機はそれなりに有用でしょう。
いたずらオモチャ化機によるイタズラは安全面を軽視した結構ハデなものです。そのうえどのような効力が発現するのかは、誰かが引っかかるまでわかりません。負傷者を出してしまう可能性は無視できないレベルです。
イタズラは必ずしも笑って許せるとは限りません。相手の気持ちを考えずにいたずらオモチャ化機を使えば、それはもう悪用です。
いたずらオモチャ化機によるジョークグッズ化は「外観は変化しない」「効力は一度発生すると消える」という秘匿に適した特性を持っています。
確かにおかしなことが起こったのに、その物をどれだけ調べてもなんの異状も見つからないとなれば、合理的な説明がつけられません。そうなると、ポルターガイスト現象のような超常現象だとしか思われないでしょう。
現象の秘匿性は皆無だけれども、そこからいたずらオモチャ化機の存在へは(常識にとらわれている限り)たどり着けないはずです。
いくら未来の道具によるものでも、しょせんイタズラはイタズラです。世の中に変革をもたらしはしません。
イタズラを仕掛けることで満足感を得られるか否かは人それぞれ。イタズラにまるで価値を見いだせない人も多いでしょう。すくなくとも、わざわざひみつ道具を使うまでもないことに思えます。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、いたずらオモチャ化機の優先度は星
つです。