ママがお客さんとおしゃべりしているあいだ、その娘のみっちゃんをのび太とドラえもんで子守することになりました。けれどみっちゃんにせがまれた人形遊びを二人は「女の子みたい」と恥ずかしく感じて困りました。
「女らしさ」とか「男らしさ」とか、そんなジェンダーに疑問を持って、ひみつ道具の“オトコンナ”でひと騒動起こした二人の過去はさておき、今回は人形にみっちゃんの相手をさせることにしました。
そこでドラえもんが使ったひみつ道具が“ほねぐみロボット”です。
ドラえもんのほねぐみロボットは、人形の骨組みになる自律型ロボットです。これを人形に組み込むと、ひとりでに動いて話す人形になります。
人形のボディが中空とは限りません。完成品にあとから骨組みを組み込むのは大変な手間がかかります。それにもかかわらず、ドラえもんはいとも簡単にほねぐみロボットを人形に組み込みました。
このことから、どんな人形にでもすぐさま組み込める機能がほねぐみロボットには備わっていると推測されます。
ほねぐみロボットが発動した人形は、人からの働き掛けを待つことなく、自ら積極的に行動します。そして高度なAI(人工知能)による言動はとても自然です。
そのさまは、まさしく「生ける人形」です。気味が悪いと感じるか、いとおしく感じるか。いずれにしても見過ごせない強烈な存在です。軽い気持ちで手を出すと後悔するでしょう。
またほねぐみロボットは、わがままでマイペース。人にへつらうことを知りません。現存するコミュニケーションロボットのPepperやロビがイヌだとすれば、ほねぐみロボットはネコです。
「わがままを言われても、相手にされなくても、生ける人形が自宅にいるだけで満足」という人にとっては、ほかには代えがたい唯一無二の存在です。
そう思えない人にとっては、ただただ手に余るだけでしょう。
『ドラえもん』に登場するロボットタイプのひみつ道具は、どれも自由奔放で、ときには暴力的ですらあります。どうやら「ロボット三原則」などの制御は掛けられていないようです。
ほねぐみロボットを虐待でもしようものなら、寝首をかかれるかもしれません。もちろんちゃんと丁重に扱えば、そんな心配は無用です。
ひとりでに動く人形は、映画『トイ・ストーリー』みたいに夢のある話なのか、それとも呪いの人形みたいな血も凍る恐ろしい存在なのか。
ほねぐみロボットを組み込む人形の外見しだいでは、人を恐怖のどん底へ陥れられるでしょう。トラウマになりかねない、いたずらでは済まない悪行です。
映画『アナベル 死霊人形の誕生』予告編
ほねぐみロボットはとても活動的です。同居人に隠し通すのは難しいでしょう。一人暮らしでも、家を空けているあいだが心配です。勝手に外出して、近隣住民に目撃されてしまうかもしれません。
無用な騒ぎを起こさないためにも、ほねぐみロボットから目を離すときには、人形から取り外しておくべきでしょう。
二足歩行ロボットとAIに関する技術の進捗スピードは加速度的に増しています。
What's new, Atlas?
ロビをはじめとする家庭用ロボットがほねぐみロボットに追いつくまで、そう長い年月はかからないでしょう。AIロボットとの向き合い方を人類が改めて考えなけばならない時代の幕開けです。
デアゴスティーニの『週刊ロビ』シリーズは異例の大ヒットを飛ばし、累計10万体以上のロビが完成したと公称されています。また、精工な高級ドールを「お迎え」して愛(め)でる文化もあります。
ほねぐみロボットの潜在需要はかなり高いはずです。「需要がある」とはつまり「金になる」だから、積極的に商品開発されていく分野でしょう。
そう遠くない未来に実現する可能性が見込まれるとなれば、時空を越えて手に入れるひみつ道具としての優先度は落ちます。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ほねぐみロボットの優先度は星
つです。