もしも「ヒトマネロボット」をもらったら

「誰の姿にも自在に変われるロボット」といえば、映画『ターミネーター』シリーズに登場する“T-1000”が代表でしょう。でも、我らが『ドラえもん』に登場するひみつ道具の“ヒトマネロボット”も忘れてもらっちゃ困ります。

機能と効果

ドラえもんのヒトマネロボットは、あらゆる人の姿そっくりに変身できるロボットです。ヒトマネロボットに人の姿を見せて命令すると、服やアクセサリーも含めて、そのときの姿を丸ごと再現します。

類似するひみつ道具の“コピーロボット”と大きく違うのは、自律型ではない点です。ヒトマネロボットは操作しないと動きません。

操作は専用の無線マイクで行います。マイクにしゃべると、ヒトマネロボットも同じことをしゃべり、その内容にふさわしい身振りをします。

有用性: ★☆☆☆☆

ヒトマネロボットはモニター機能がないので、目視できて且つ会話が聞き取れる、かなりの近距離での操作が強いられます。

このままでは有用に使える場面がとても限られてしまいます。ヒトマネロボットを有効利用するには、スマホを使った生中継などで、ある程度離れた場所からでも状況を確認しながら操作できるようにする準備が必要でしょう。

ヒトマネロボットの使い道でまず思いつくのは、自分の代理をさせることです。けれど自分自身で操作する代理には、あまり意味を見いだせません。役立てられるのは影武者が必要になるような、特殊な立場の人くらいのものです。

操作する必要がない場面なら代理として使えます。たとえば家族に内緒で夜中にこっそり外出したいときに、自分の代わりにベッドに寝かせておくなど。

いっそ操作を誰かに頼めば、状況次第では便利かもしれません。しかし、自分の分身を人に任せるのはリスクが高すぎます。リスクに見合うだけのリターンは得られないでしょう。ヒトマネロボットの存在を明かさねばならない問題も残ります。

立場を逆にして考えると、ヒトマネロボットを誰かの分身にして無断で使うのは、いかに身勝手なことかわかります。有用とは、とてもじゃないけどいえません。

危険性: ★☆☆☆☆

操作法が「会話で誘導する」という大雑把ななものなので、意図とは多少ずれた動作になる可能性があります。

悪用度: ★★★☆☆

他人の姿に変身させたヒトマネロボットで犯罪をすれば、容疑は当然その人にかかります。たとえ犯罪行為をさせなくても、勝手に他人の分身を使うこと自体が悪用といえるでしょう。

分身を操作せずに置いているだけ、たとえばアイドルに変身させて等身大フィギュアとして自宅に飾っておくにしても、モラルには反しています。

秘匿性: ★☆☆☆☆

ヒトマネロボットを変身させるには、その人の姿を直接見せる必要があります。また、操作をするにも(基本的には)ごく近くにいる必要があります。さらにその操作には声を出して話す必要まであるのだから、秘匿性もなにもあったもんじゃない。

人に知られることなくヒトマネロボットを運用するのは、かなり難しいでしょう。

革命度: ★★☆☆☆

アメリカの大統領を秘密裏に誘拐してヒトマネロボットとすり替えて……なんていうハリウッド映画みたいな絵空事がもしも実行できたなら、世界に影響を与えられるでしょう。もちろん、一般人には万が一にも不可能なのはいうまでもありません。

物体をモーフィングさせるヒトマネロボットのテクノロジーが解析できたなら、工業産業に大きなインパクトを与え、今までにないまったく新しい製品の開発につながるでしょう。

まとめ

ヒトマネロボットに限らず、分身系のひみつ道具はどうにも筋が悪い。人のアイデンティティーをおびやかす「分身」という存在には、関わらないほうが身のためです。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ヒトマネロボットの優先度は、星1つです。

道具名称:
ヒトマネロボット
原作初出:
『ドラえもん』第1巻「プロポーズ作戦」
カテゴリ:
「ひ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第1巻 / ロボット / 分身
公開日:
2014年07月09日

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