フエルミラー

のび太はおやつを我慢して、その代わりに臨時のおこづかいをもらいました。それなのに、やっぱりおやつが食べたいと、ドラえもんのどら焼きを恨めしそうに見つめます。

その視線に根負けしたドラえもんが取り出したひみつ道具が“フエルミラー”です。

機能と効果

ドラえもんのフエルミラーは、物体を複製できる鏡台すなわち「増える鏡」です。

スイッチを入れると、フエルミラーに映った物が鏡の中で実体化します。この鏡は中へ手を入れられるので、それをつかんで取り出せば一つ増えるという段取りです。

ただしフエルミラーから取り出した物は、元の物とは奥行きが反転した、「鏡像」と呼ばれる形態になっています。

原作漫画の描写から、フエルミラーの鏡の世界は、こちらの世界と一対であることがうかがい知れます。よって本稿では、同じ複製は一つしか作れないと解釈しています。複製からさらに複製を作ることも不可能ということです。

有用性: ★★★☆☆

物を複製して一つ増やせるのはもちろん有用です。

しかし鏡像では用をなさない物もあります。たとえば活字はすべて鏡文字に変わるため、書籍は読めたものではないでしょうスマホなどの電子機器は、鏡像となった場合にどのように動作するのか不確かです。鏡像の貨幣なんてのはもう問題外。

複製が鏡像になるのはフエルミラーの明らかな欠点です。

(前述したようにフエルミラーから取り出した物からは増やせないので、鏡像をさらに反転させて、オリジナルとまったく同じ複製にすることはできません)

食品は鏡像でも問題なく食べられる(1)から、フエルミラーとの相性は抜群です。ドラえもんがフエルミラーを始めて使ったのも、自分のどら焼きを増やすためでした。たらふく食べるも良し、食費を節約するも良し、どちらにも便利に使えます。

もっと俗な使い方として思いつくのは、金地金、いわゆる金の延べ棒を複製することです。刻印が鏡像でも純金は純金です。正に未来の錬金術、これでいくらでも資産を増やせ……ないでしょう。

金地金の売却は課税対象です。出所不明の金地金は無闇に売れません。税務署に「フエルミラーで増やしました」だなんて言えるわけがない。そもそも正式な刻印のない金地金は売ることすら難しいでしょう。

税務署に目をつけられるような派手な使い方は控えて、身の回りの消耗品や食品を増やすのがフエルミラーの妥当な使い道です。それだけでも十分に有用なのだから。

(1)フエルミラーから取り出した食品を食べる描写が『ドラえもん』の作中にあります。

危険性: ★★★★☆

なぜ、フエルミラーにはわざわざスイッチがついているのか? それは鏡人間の侵入を防ぐためです。フエルミラーは生物すら増やせます。人間とて例外ではありません。

フエルミラーの性質上、増やしたい物だけではなく、使用者の姿も鏡に映りこみます。そのまま一定時間を過ぎると、実体化した鏡人間が自我を持ってこちらの世界へ勝手に出てきてしまうのです。

鏡人間は、個別の意思を持った存在ゆえに本人との衝突は避けられません。鏡人間の手によって本人がフエルミラーの中へ追いやられてしまうことすら起こり得ます。

フエルミラーのスイッチは、決して切り忘れてはいけません。

悪用度: ★★★★☆

鏡人間はこの世界の住人ではないので、監禁しても行方不明者のリストにはあがりませんフエルミラーが犯罪組織の手に渡ってしまうと、芸能人などの鏡人間の人身売買が横行する恐れがあります。

秘匿性: ★★★★☆

鏡台を持ち歩きはしないように、フエルミラーもまた持ち歩くものではありません。基本的に自宅で一人で使うひみつ道具です。人前で使う必要がないので、秘匿性に問題はないでしょう。

革命度: ★★★★★

フエルミラーは「鏡の世界」へつながるひみつ道具だと思われます。鏡の世界、特に鏡人間は我々の常識を根底から覆す存在です。

まとめ

複製を作れるというフエルミラーの機能はかなり魅力的です。しかし、複製が鏡像になってしまうことや、鏡人間が暴走する危険があることは、メリットを帳消しにして余るほどのデメリットです。

食品の量を二倍にできる利便さも“グルメテーブルかけ”の前ではかすみます。お金を増やすなら“フエール銀行”のほうがあつらえ向きです。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、フエルミラーの優先度は星2つです。

道具名称:
フエルミラー
原作初出:
コミックス第5巻「かがみの中ののび太」
カテゴリ:
「ふ」から始まるもの / コミックス第5巻 / 分身 / 複製
公開日:
2015年09月01日
更新日:
2018年09月16日

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