わすれとんかち

のび太がスネ夫の家で遊んでいると、見も知らぬおじさんが勝手に家に上がり込んできました。どうやらそのおじさんは記憶喪失のようです。気の毒に思ったのび太は、なんとか記憶を取り戻してあげようとしました。

そんなときはひみつ道具の出番だということで、ドラえもんが取り出したのが“わすれとんかち”です。

名称

このひみつ道具は、漫画『ドラえもん』の作中で正式名称が明らかにされません。当ブログでは、このひみつ道具が登場するエピソードのタイトル「わすれとんかち」が道具名でもあると判断しました。

ちなみに副読本の『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』では「記憶映写とんかち」と表記されています。(当ブログは判断のよりどころとして原作漫画を優先しています)

機能と効果

ひみつ道具のわすれとんかちは、忘れた記憶を叩き出すトンカチです。

ドラえもんの身の丈ほどもあるこの巨大なトンカチで人の頭を叩くと、その人の目から映写機のように映像が照射されます。映像は数秒で、対象者が忘れている記憶からランダムに抽出されたものです。

ただし記憶そのものはよみがえりません。記憶のピースを埋めるには、映像を足掛かりにして自力で思い出さなくてはなりません。わすれとんかちは「忘れた記憶を思い出す」のではなく、あくまで「忘れた記憶を叩き出す」ひみつ道具です。

また、脳から完全に失われた記憶は再生できません。

有用性: ★☆☆☆☆

原作でドラえもんは、記憶喪失の男性の正体を知るためにわすれとんかちを使いました。しかしその人は俳優だったので、現実ではなく映画の一場面が映し出されました。おかげでドラえもんは正体を勘違いしたのです。

このように断片的な記憶の映像ではなんの役にも立たないケースは多いでしょう。普段は忘れている記憶は膨大な量に及びます。そこから必要な情報を探り当てるのは無理筋というものです。

順序立っていない記憶がいかに混乱を招くかは、映画『メメント』で追体験できます。記憶を10分間しか保てない前向性健忘の男を主人公にしたこの作品は、後に映画『ダークナイト』で名を馳せたクリストファー・ノーラン監督の初期作です。

挑戦的な映画が好きなら、観る価値のある傑作です。

閑話休題、巨大なトンカチで頭を叩くのですから、あまり連続して使えません。この特性がわすれとんかちの使い辛さに拍車を掛けます。

危険性: ★★★★☆

巨大なトンカチで頭を叩いてただで済むわけがない。原作ではわすれとんかちを連続して使った人たちの頭がおかしくなってしまいました。

脳震盪(のうしんとう)はもとより、外傷性くも膜下出血を起こす恐れもあります。ドラえもんはわすれとんかちを使うか否かさんざん悩みました。それだけ危険が伴うひみつ道具なのです。

「くも膜下出血」のすべて (小学館101新書)
タイプ:
単行本
著者:
堀 智勝
発売元:
小学館
評価:
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悪用度: ★★★★☆

相手の了承を得ずにわすれとんかちを使えば、それは暴行・傷害です。悪用どうこう以前の問題です。

わすれとんかちは映写式です。つまり映像化された記憶をその場にいる人なら誰でも見られます。数秒の断片とはいえ、無理やりプライベートを晒させるのは悪質な行為です。

秘匿性: ★☆☆☆☆

巨大なトンカチを人前で振るったら通報されても文句は言えません。おまけに目から映像が照射されるというインパクトの大きい仕組みです。わすれとんかちはなかなか使える機会のないひみつ道具です。

革命度: ★★☆☆☆

脳は日々研究されています。記憶を外的要因でよみがえらせることは、そう遠くない未来に実現するかもしれません。決して夢物語ではないでしょう。

記憶をよみがえらせることより、むしろ眼球から映像を照射する効果のほうが革命的です。こればかりはちょっと理解不能なほどのオーバーテクノロジーです。

まとめ

あともうちょっとで思い出せそうなのに! わすれとんかちはそんな度忘れを解消できるひみつ道具かと思いきや、叩き出す記憶がランダムに選ばれるのでそう簡単にはいきません。

巨大なトンカチで頭を叩くデメリットに見合うだけの実用性がどこにあるというのでしょうか。というわけで、わすれとんかちの欲しい度は星0.5つです。

道具名称:
わすれとんかち
原作初出:
コミックス第5巻「わすれとんかち」
カテゴリ:
「わ」から始まるもの / コミックス第5巻 / 記憶
公開日:
2015年09月04日
更新日:
2017年03月15日

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