必然の進化か、神のいたずらか。多くの生きものは、人間の物差しからすると摩訶不思議な特殊能力を身につけることで生存競争に勝ち残ってきました。そんな能力を人間が身につけられるひみつ道具が“動物がたにげだしじょう”です。
ドラえもんの動物がたにげだしじょう(以下「動物型逃げ出し錠」と記す)は、弱い動物が外敵から逃げるときに使う能力を身につけられる錠剤です。
- カメレオン錠
- 周囲と同じ色に体と着衣を変色させて姿を隠す(光学迷彩)。
- カメ錠
- 石のように硬くなった胴体に頭と手足を引っ込めて守る。
- トカゲ錠
- 着衣をつかまれると、着衣が破れてするりと全部脱げて抜け出す。
- スカンク錠
- 猛烈に臭いオナラで撃退する。
上記の4種類で1セットです。これらを服用しておくと、ピンチになった際、1錠につき1度だけ自動的に能力が発動します。
複数の動物型逃げ出し錠をいっぺんに服用した場合は、状況にもっとも適した能力が一つ発動します。消費するのは発動した分だけで、残りは次回に持ち越します。
制限時間は不明。当サイトでは、ピンチになるまでいつまでも無制限に待機状態が持続すると仮定します。
2017年4月7日に放送されたアニメ版(第2作第2期)では、原作のセットに加えて、下記のセットも登場しました。
- オポッサム錠
- 死んだふりで敵を欺く。
- タコ錠
- 口から墨を吐いてひるませる。
- ヤマアラシ錠
- 背中と後頭部にトゲを生やして攻撃を防ぐ。
- デンキウナギ錠
- 体から電気を放って感電させる。
ただし当サイトは原作漫画を基準としているため、これらは参考しません。
「ドラえもんのひみつ道具を一つもらえる」という条件下で手に入れられる動物型逃げ出し錠は当然1セットきりです。つまり窮地をしのげるのはたったの4回。けれどもそのうちの1回が生死を分けるかもしれないのだから侮れません。
問題は効力の発動条件がゆるいこと。自力で逃げ出せるような状況でも発動します。これではつまらないことで使い切ってしまうでしょう。かといってピンチになってから服用するのでは間に合わないことも多いはず。
深刻な危機に見舞われるのが確実に予測される状況――自国が戦争に巻き込まれるなど――でもなければ、動物型逃げ出し錠が本領を発揮することはなさそうです。
動物型逃げ出し錠は身を守るためのひみつ道具だから危険は考えられません――トカゲ錠をのぞいては。
つかまれた箇所だけが破れて脱げるならともかく、全裸になってしまうのでは、状況は悪化するばかりです。女性が痴漢から逃げたいときにトカゲ錠が発動してしまったら目も当てられません。
とはいえこれはトカゲ錠を避けるだけで済む問題です。ほかの動物型逃げ出し錠と間違ってトカゲ錠を服用しないように注意しましょう。
なにかに混ぜたり、適当な理由をつけたりしてトカゲ錠を飲ませれば、その人はちょっとした拍子に公衆の面前で全裸になってしまうでしょう。
そもそもからして薬をだまして飲ませるのはモラルを著しく逸脱した行為です。いたずら半分で飲ませてはいけません。
カメ錠の効力は目に見えて常識はずれです。しかも発動中は動けません。スマホで写真や動画を撮られて「カメ人間」だと拡散されるかもしれません。
いずれにせよ、動物型逃げ出し錠は飲めばなくなってしまうから、「ドラえもんのひみつ道具」という真実が解明されることはないでしょう。
動物型逃げ出し錠には、現代では想像もつかない、まったく未知の技術が用いられているのは間違いありません。
しかし能動的に影響を及ぼす類いの効力ではないこと、また使い切りの消耗品であることから、社会的な変革には縁遠いひみつ道具です。
人体を変化させるカメ錠は使うのが怖いし、カメレオン錠の光学迷彩は“かくれマント”に劣るし、全裸になってしまうトカゲ錠はもってのほか。スカンク錠は状況次第では結構効果が見込めそうです。
なんにせよ動物型逃げ出し錠の効力は軽いピンチでも発動してしまうから、あまりシリアスに捉えるひみつ道具ではないのでしょう。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、動物型逃げ出し錠の優先度は星
つです。