もしも「手ぶくろ電話」をもらったら

のび太が寝る前のトイレをしようとしていたとき、かかってきた電話に出ると、なんと相手はオバケでした。怖くなったのび太はトイレに行けずに布団に逃げ込みます。

明くる日に思い返してみると、オバケの声はジャイアンとスネ夫だったと気がつきました。そう、二人のいたずら電話だったのです。

トイレを済ませられなかったせいでおねしょをしたのび太を不憫に思ったドラえもんが、二人にやり返すべく取り出したひみつ道具が“手ぶくろ電話”です。

機能と効果

ドラえもんの手ぶくろ電話は、電話の受話器を手のように操る手袋です。

これを電話機に接続して電話をかけると、相手側の受話器が手の形に変形して、この手袋と同じ動きをするようになります。

原作エピソードの「電話のおばけ」が執筆されたのは70年代です。当然ながら、作中に登場した電話機は昭和の黒電話でした。

Author: Tomomarusan / GFDL + CC 2.5 / 黒電話 - Wikipedia

しかし手ぶくろ電話は22世紀の未来からやってきたドラえもんの持ち物です。そしてケーブルの接続端子がミニプラグであることが作中の絵で確認できます。

これらのことから、ミニプラグ端子にマイク付きイヤホンを接続して使えるスマホなどの電話機全般に対応していると推定されます。当サイトではこの推定を前提とします。

有用性: ★☆☆☆☆

ドラえもんたちが手ぶくろ電話を使うことになったいきさつからして、これの主な用途はいたずら電話です。たしかに電話機が手のように動き出したら誰でもびっくりするでしょう。

とはいえ迷惑行為であるいたずら電話を有用とはいえません。

遠隔操作のロボットアームとして使うにもいささか無理があります。手ぶくろ電話の実用的な使い道を探るくらいなら、初めからほかのひみつ道具を選ぶべきです。

危険性: ★☆☆☆☆

手ぶくろ電話の効力は一方的で、こちら側への反動はまったく生じません。

悪用度: ★★☆☆☆

のび太は手ぶくろ電話でスネ夫の頬をつねり、ジャイアンを殴りつけ、しずかちゃんの肩に手をまわしました。暴行にセクハラにと、悪事にうってつけです。

ただし、たとえ非通知でかけても通信事業者の記録には残ります。騒ぎが大きくなって事件になれば、こちらの身元が開示されます。

手ぶくろ電話で大きな悪事を働くならいわゆる「飛ばし携帯」(1)が必須です。そしてそんな反社会的なブツに手を出したらもうあとへは戻れません。

せっかくドラえもんからひみつ道具をもらえるというのに、そんな馬鹿な真似をする理由なんて一つもないでしょう。

(1)第三者や架空の名義で契約した携帯電話。

秘匿性: ★★★☆☆

非通知設定でかければ、開示請求が認められない限り、こちらの足はつきません。

スマホにつねられただとか、なでられただとか、そんな話を捜査機関がまともに聞くわけがないでしょう。騒ぎが拡大しないようにペースを抑えて使う分には身バレを防げます。

とはいえ通信事業者に記録が残ることには変わりありません。常に証拠を握られているので手ぶくろ電話の秘匿性は心もとないです。

革命度: ★☆☆☆☆

既知の素材で作られている電話機を柔軟に変形させるだなんて、まさしくアーサー・C・クラークのいう「十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」です。

そんなとんでもない技術だけれども、手ぶくろ電話が一つあっただけでは世界は変わらないでしょう。

まとめ

「電話のおばけ」は都合4ページしかありません。漫画『ドラえもん』のそういった超短編に登場するひみつ道具は、たいがい出オチの代物です。手ぶくろ電話もその例にもれず、継続的な価値は期待できません。

そもそもいたずら電話という行為が問題外だ。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、手ぶくろ電話の優先度は星1つです。

道具名称:
手ぶくろ電話
原作初出:
『ドラえもん』第9巻「電話のおばけ」
カテゴリ:
「て」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第9巻 / いたずら / 通信
公開日:
2017年08月13日

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