のび太が部屋に戻ると、なにやら美味しそうな団子が置いてあります。ぱくっ! のび太はそれを一口で食べました。
けれどそれは決して口にしてはならない“すて犬ダンゴ”だったのです。
ドラえもんのすて犬ダンゴは、家に帰れないようにする団子です。これを食べると、家路を邪魔するトラブルが次から次へと起こって、どうやっても家へたどり着けなくなります。一度家を出たが最後、二度と戻れません。
ただし、すて犬ダンゴを吐き出せば、効果が切れて家に帰れます。のび太はそうやって無事に帰宅しました。では、うんこになって排泄された際も効果は切れるのでしょうか?
ドラえもんによるとこれを食べて家に帰れた飼い犬はただの一匹もいないんだとか。しかし口にしてから排泄するまでの時間くらいで犬は家の場所を忘れません。そこで当ブログでは、完全に消化吸収されると、効果が永続化すると仮定します。
また、すて犬ダンゴにおける「家」とは「定住場所」を指すと推定されます。これは転居しようがなにをしようが、どこにも定住できなくなることを意味します。
ドラえもんからもらえるのは10個入り1缶とします。
すて犬ダンゴはその名のとおり飼い犬を捨てるためのひみつ道具なのでしょう。
けしからん! ペットを捨てるだなんてもってのほかです。なんらかの事情で飼えなくなったのなら、里親を見つけるのが道理です。
ほかのまっとうなことに応用しようにも、すて犬ダンゴがもたらす「一生家に帰れない」という状態は、どうあがいてもプラスに転化できません。
ちなみにドラえもんはすて犬ダンゴを廃棄するつもりでした。そんな物をなんで持っていたのか、なんでのび太の部屋に出しておいたのかはさておき、廃棄して当然の粗悪品ということです。
のび太はすて犬ダンゴを一目見てすぐ口にしました。それほど美味しそうだったのです。同居している人がいるなら、すて犬ダンゴは厳重に保管しましょう。
食べた物は数時間で胃から小腸へ送られます。意図せずすて犬ダンゴを食べられてしまったら、早急に吐かせなければなりません。さもないと二度と一緒に住めなくなります。
すて犬ダンゴを食べると、不運が重なって、どうしても家に帰れません。さて、家に帰りつけない究極の不運とは? それは「突然死」でしょう。帰宅に挑戦し続けた挙句の果て死ぬかもしれないのです。
帰宅を諦めても、一生定住できずに、死ぬまで流浪の旅を続ける羽目になります。
すて犬ダンゴを食べさせるのは、決して許されぬ悪行です。
家に帰ろうとすると必ずトラブルが巻き起こって絶対にたどり着けないなんて、明らかに不自然です。しかし、それぞれのトラブルは独立しているし、外的要因を見いだすこともできません。
すて犬ダンゴの見えざる力の存在を我々現代人が証明することは不可能でしょう。
家に帰りつけない人たちが人口の1%も超えれば社会は否が応でも変わります。もちろん、すて犬ダンゴ1缶ではまるで足りません。誤差として社会に飲み込まれて仕舞いです。
すて犬ダンゴの活用法を強いて挙げるなら、DVや虐待の被害者が加害者に食べさせて家から追放することです。
特に児童虐待は被害者が死亡するまで社会が機能しなかったケースも散見されるため、すて犬ダンゴという極端な解決策も一概に否定できません。
それにしたって家の外では接近を免れないため、あくまで一時しのぎです。やはりすて犬ダンゴはまともな使い道がありません。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、すて犬ダンゴの優先度は星
つです。