もしも「カッコータマゴ」をもらったら

親から叱られることを「ありがたい」と思えるほど成熟するまでには時間がかかります。なにかと親を怒らせることをしでかすのび太ならなおさらのこと。口うるさいママのことをのび太は大げさに愚痴りました。

そんなのび太と暮らすドラえもんのもとへ図ったように未来デパートから誤配送されてきたひみつ道具が“カッコータマゴ”です。

機能と効果

ドラえもんのカッコータマゴは、よその家の子供になれるひみつ道具です。

このタマゴをポケットに入れるなどして身に着けた人は、訪問先の住人からそこの家の子供だと認識されるようになります。本来の子供はそのあいだ、逆に赤の他人だと思われます。

たとえばカッコータマゴを身に着けたのび太がスネ夫の家を訪れたとき、スネ夫のママはのび太がスネ夫で、スネ夫本人は知らない人だと思い込みました。

これは鳥のカッコウが他種の鳥の巣に卵を産み落として、その巣のあるじに子育てをさせる「托卵(たくらん)」を模しています。

有用性: ★☆☆☆☆

托卵された巣で孵化(ふか)したカッコウのヒナは、ほかのヒナや卵を巣から落として殺します。その巣の親鳥はそうとも知らず、残ったカッコウのヒナを育てるのです。托卵された鳥にはデメリットしかありません。

こうした営みも含めて自然界では生態系のバランスがとられています。そこに是非はつけられません。だからといって人間社会に適用するのは筋違いです。

托卵とカッコータマゴとの差異を考慮しても、有用といえるだけの成果は見いだせません。

危険性: ★★☆☆☆

子供を巻き添えにした無理心中は後を絶ちません。よそには見せない関係性や想いを秘めた家族はごまんといることでしょう。憎しみ合っている親子も当然います。

なんの考えもなしにカッコータマゴで子供に成りすますと、恨みと憎しみの渦に巻き込まれかねません。

悪用度: ★★★★☆

赤の他人が何食わぬ顔で家族として家に入り込むのだから真っ黒も真っ黒、擁護しようのない悪行です。

カッコータマゴを用いれば、いわゆる「オレオレ詐欺」をやりたい放題です。玄関から堂々と入り、適当な理由でお金を借りて立ち去るだけ。だまされた人は自分の本当の子供に貸したと思い込んでいるので、被害届を出されることもないでしょう。

自分の子供だと思っていたら実は別人だったなんて、身の毛がよだつホラーです。

秘匿性: ★★★★☆

スネ夫家に上がり込んだのび太は調子に乗ってお風呂に入りました。カッコータマゴを入れた服を脱いだので、効果は当然切れてしまいます。けれどバスルームを見たスネ夫のママは、そこにのび太がいる前後関係がわかりませんでした。

先程まで相手をしていたのがスネ夫ではなくのび太だったことに、カッコータマゴの効果が切れたあとも気がつかなかったのです。

このような特性がカッコータマゴにはあるため、映像などの客観的記録が残ってでもいない限り、カッコータマゴの存在はおろか、子供が入れ替わっていたことすら立証されないでしょう。

革命度: ★★★☆☆

なんだかんだいって、大半の人は自分の子供に甘いものです。強い影響力のある有力者とて例外ではないでしょう。野心と頭脳と行動力をもってカッコータマゴを用いたなら、なにか大きなことを成し遂げられるやもしれません。

まとめ

ドラえもんはカッコータマゴを「ずるい道具」と評しました。たしかにまっとうな使い道を探すのがどうにも難しいひみつ道具です。

有用な使い道を考えるのに頭をひねるくらいなら、初めから別のひみつ道具を選べばいい。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、カッコータマゴの優先度は星1つです。

道具名称:
カッコータマゴ
原作初出:
『ドラえもん』第27巻「カッコータマゴ」
カテゴリ:
「か」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第27巻 / そのほか
公開日:
2016年12月01日

あわせて読みたい

広告