指先の皮膚に表れる固有の模様を「指紋」というように、声もまた「声紋」と呼ばれる人それぞれ異なる固有の周波数特性をもっています。そんな声紋を操るひみつ道具が“声紋キャンディー製造機”です。
「声紋キャンディー製造機」という名称はアニメ版の公式サイト(1)より。このひみつ道具が登場する原作エピソード「キャンデーなめて歌手になろう」では名称が明示されていません。
なお公式ガイドブックの『ドラえもん最新ひみつ道具大事典』では「声のキャンデー」として掲載されています。
(1)ドラえもん|テレビ朝日
ドラえもんの声紋キャンディー製造機は、人の声をそっくりに真似られるひみつ道具です。
本体につながっているマイクに声を吹き込むと、キャンディーが1つ出てきます。これは声紋を解析して作られた「声のキャンデー」で、なめると30分のあいだ、その声紋と同じ声になります。
肉声だけではなく、テレビやスマホなどの機械を通した声でも機能します。
声のキャンデーをいくつ製造できるかは不明。当サイトでは、無尽蔵に製造できると仮定します。
声はその人の印象を大きく左右します。女子アナが男ウケするのは、彼女たちが訓練された発声を習得しているのも一因のはず。福山雅治さんが人気を集めていた秘訣はその美声にあったといっても過言ではないでしょう。
そういった魅力的な声を声紋キャンディー製造機で自分のものにすれば、対人関係における有用な武器になります。
問題は効果の持続時間が30分なこと。予備の声のキャンデーをあらかじめ作っておくにしても、運用には限界があります。どうしても短期決戦にならざるを得ないのが玉に瑕です。
これといった危険性はありません。
姿を見せずに声だけ聞かせられる場所から人の声色で悪口を言えば、人間関係をかき回せます。場合によってはかなり悪質ないたずらとなります。
芸能人の声を使った振り込め詐欺も考えられます。しかし声を真似ることなく子供を装って電話するオレオレ詐欺がこれだけのさばっているのだから、わざわざ声紋キャンディー製造機を使うまでもないのでしょう。
まったく同じ声紋とはいかないまでも、かなりの再現度で声を真似られる才能の持ち主もいます。声のキャンデーの効力を人前で披露しても、すぐさまそれが未来の技術によるものだとは思われないでしょう。
もちろん秘匿しつづけるにはある程度の節度は必要です。
人の声色を使えるだけでは、世界を変えるには至らないでしょう。
アーティスト(歌手)とまったく同じ声でカラオケを歌うのは気持ちがよさそうな反面、歌唱力の差が余計に浮き彫りになって落胆しそうです。結局、声だけを真似たところで、ほかの魅力が伴わなければ活かしきれません。
楽しめるのは間違いないけれど決め手に欠けるというわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、声紋キャンディー製造機の優先度は星
つです。