もしも「人生やりなおし機」をもらったら

もしも、あのとき、違う道を選んでいたら……。

ひどい誤りを犯しても人生は前へ進むしかありません。そんな世の道理に真っ向から背くひみつ道具が“人生やりなおし機”です。

機能と効果

ドラえもんの人生やりなおし機は、過去へ戻って人生をやり直せる機械です。

これのヘッドギアをかぶって、やり直したい年齢をコントローラーで指定すると、意識が時を超えて過去の肉体に乗り移る、つまり「タイムリープ」します。

人生やりなおし機によるタイムリープは、意識だけではなく、身体能力までもが継承されます。

どうすれば元の時代へ戻るのか、その方法の直接的な描写は原作にありません。前後の描写から、コントローラーの操作が必要だと推定されます。

つまり人生やりなおし機をもらう以前の時代へタイムリープした場合は、新たな人生で再び人生やりなおし機をもらえるまで、自力では元の世界線へ戻れませんもしくは元の世界線で誰かが人生やりなおし機を操作しても戻れます。

有用性: ★★★★☆

はたして人生をやり直すことが有用なのか? これはもう一人ひとりの人生哲学しだいでしょう藤子・F・不二雄先生は多分に懐疑的だったようで、人生やりなおし機が登場するエピソードでドラえもんにこう言わせています。

「こんな機械にたよるより、人間の中身を変えていかなきゃ」

てんとう虫コミックス『ドラえもん』第15巻「人生やりなおし機」より

とはいえ今を生きる上で背負っている(あるいは背負わされている)苦しみもまた一人ひとりまるで違います人生をやり直すことを選んだ人がいたとしても、責められはしません。

人生はあまりにも複雑だから、やり直したって必ずしも望ましいものになるとは限りませんそれでも、知識と、それを基にした知恵は人生における強大な力となるから、チャレンジする価値はあるでしょう。

さて、人生やりなおし機でやり直すのは、なにも「人生」という大仰なものでなくてもいいはず。

たとえば休日です。同じ休日を繰り返せば、好きなだけ連休になります物品は持ち越せないから映画鑑賞などの形に残らなくても問題のない過ごし方に限定されるけど、リフレッシュするには十分でしょう。

そして最大の恩恵が「病気・事件・事故の回避」ですどんな目に遭っても、人生やりなおし機を使える状態ならば、過去へ戻って回避できます。

ちなみにフィクションの世界では、タイムリープで人の命を助けようとしても、一筋縄では行かずに泥沼化するのが定番です。

死の運命に逆らうというのなら、それ相応の覚悟が必要でしょう。

バタフライ・エフェクト【日本語吹替版】 [VHS]
タイプ:
VHS
出演:
アシュトン・カッチャー
発売日:
2005年10月21日
発売元:
アートポート
僕だけがいない街(1) (角川コミックス・エース)
タイプ:
Kindle版
著:
三部 けい
発売日:
2013年05月18日
発売元:
KADOKAWA

危険性: ★★★★☆

人生やりなおし機を実行するときは、年齢を示す目盛りを希望に合わせて実行ボタンを押します問題は「目盛りが勝手に素早く動き続ける」うえに「目盛りの表記は1か月ごと」というとんでもない仕様なことです。

タイミングよくボタンを目押しするだなんて! タイムリープという重大な行為にしては、あまりにもアバウトな指定方法です。下手すると数か月もずれちゃいます。

しかもタイムリープを取り消すには人生やりなおし機の本体が要ります人生やりなおし機を手に入れた日よりも前へタイムリープした場合は、否が応でもそのときまで人生をやり直さなくてはなりません。

悪用度: ★★★☆☆

適当な口実をつけて人にヘッドギアをかぶせれば、勝手にタイムリープさせられます。数日ならともかく、年単位の望まぬタイムリープは酷な仕打ちです。

「人生をやり直したことで生じた影響が広範囲に波及する」という、はた迷惑な一面も見過ごせません。当然その過程で不利益を被る人も数多く出ることでしょう。

タイムリープで歴史を変えるのは、人の分を超えた身勝手な行為だといえます。

秘匿性: ★★★★☆

人生やりなおし機で過去へ戻っても肉体は当時のものなので、見た目はなんら変わりませんそれでも、大人から子供に戻るなどの年齢差が大きいタイムリープだと、言動から周囲に違和感を与えてしまうおそれがあります。

とはいえ、その違和感の根源がタイムリープによるものだと確信する人はまずいないでしょう。

革命度: ★★★★★

意識はそのままに過去の自分へ戻るそれってその過去の自分はどうなる? 時間とは? 意識とは? 魂とは? 世界の整合性が壊れる重大なタイムパラドックスが起こるのでは疑問はつきません。

それらの答えがどうであろうと、人生やりなおし機が神の領域に干渉するひみつ道具であることは間違いないでしょう。

まとめ

思いの強さの差はあれど、「あのとき、ああしていれば……」という後悔の念は誰もが秘めているものでしょうその思いを果たせる人生やりなおし機は、ある意味で究極のひみつ道具です。

今の人生を全否定することになるのだから、余程な事情がない限りは「もしもの人生」へ乗り換えるのは妄想にとどめておくべきかもしれません逆にいえば、そんな「余程な事情」が身に降りかかったなら、人生やりなおし機の出番です。

ただし、自分が自分であることに変わりないからには、過去をやり直したからといって人生が好転するとは限らないことをゆめゆめ忘れずに。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、人生やりなおし機の優先度は星2.5つです。

この記事の「ゆっくり解説」版

道具名称:
人生やりなおし機
原作初出:
『ドラえもん』第15巻「人生やりなおし機」
カテゴリ:
「し」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第15巻 / 人気 / 時間
公開日:
2016年01月30日

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