もしも「ひものゆうれい」をもらったら

のび太は近所の空き家を別荘としてこっそり使っていました。ひどいボロ家だから借り手がつかないだろうと思ったのです。それなのに、家賃の安さに惹かれた人に入居されてしまいました。

そこでのび太はその家を幽霊屋敷だと思わせて、住人を追い出そうと考えました。

のび太のあまりに身勝手なたくらみにドラえもんは当然反対したけれど、ベソベソ泣くのび太の姿にほだされて、ついに取り出したひみつ道具が“ひものゆうれい”です。

機能と効果

ドラえもんのひものゆうれいは、幽霊の干物です。

この15cmほどのひょろひょろした煮干しみたいな干物に水分を含ませると、ムクムクと大きくなって、等身大の幽霊になります。

脚がぼんやりと消え、頭に天冠(三角頭巾)を着けた死に装束の女性、という典型的な幽霊画に描かれているタイプの幽霊です。

地表から少し浮かんでいて、フワフワと漂うように飛行します。推力はとても弱く、扇風機の風にすら押し負けます。

取れる行動は移動のみ。口頭による「進め」や「止まれ」などの指令に従います。

水分を補給しないまま時間が経つと、乾いてしぼんで元の干物状態に戻ります。

有用性: ★★☆☆☆

ひものゆうれいは、要するに人を怖がらせるためのドッキリグッズです。

そのくせ異様な形相をしたりとか、うめき声をあげたりとかのアクションはいっさい用意されていません。実質的には単なる幽霊の等身大ドールです。

特別な要素は濡れるか乾くかでサイズが極端に変化することくらい。未来から時を越えてもたらされたひみつ道具にしては凡庸です。

それでもドッキリグッズとしての凄みは上々でしょう。

危険性: ★★☆☆☆

ひものゆうれいを見た人が恐怖のあまり卒倒したら、頭を打ってしまうかもしれません。

悪用度: ★★☆☆☆

テレビのドッキリ番組が成立しているのはターゲットにもギャラが発生するビジネスだからこそ。プライベートのドッキリは下手するとただの嫌がらせになってしまいます。

ターゲットがイジメだと受け取ったらアウト。「悪気はなかった」なんて言い訳をしないで素直に反省しましょう。

もちろん最初から悪気満々でひものゆうれいを用いることもできます。綿密なおぜん立てを整えれば、相手にトラウマを植えつけるほどの恐怖を与えられるかもしれません。

とはいえそこまで用意周到にやるのなら、ひものゆうれいを使わなくたって目的は達成できるでしょう。

秘匿性: ★★☆☆☆

ひものゆうれいは隠し持っていても意味を成しません。人に見せてなんぼのひみつ道具です。それなのにまずいことに、ひものゆうれいは未知の力で宙に浮いています。

冷静に観察されてしまうと、それが不思議な存在であることが見抜かれてしまうでしょう。ひものゆうれいを使うなら、きっちり相手を怖がらせて、判断力を奪わなければなりません。

革命度: ★☆☆☆☆

「幽霊」といっても、ひものゆうれいはあくまで人工物です。霊魂の存在を証明するような特別な存在ではありません。

ドッキリグッズにすぎないひものゆうれいで、いったいどうやって革命を起こすというのでしょうか。

まとめ

のび太のたくらみは結局失敗に終わりました。家を無断で借用していたのび太が、きちんと家賃を払っている人を追い出すなんて言語道断だから、当然の帰結です。

のび太みたいに自己中な目的に使わなくとも、こういうイタズラが悪趣味なことに変わりないでしょう。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、ひものゆうれいの優先度は星0.5つです。

道具名称:
ひものゆうれい
原作初出:
『ドラえもん』第12巻「ゆうれいの干物」
カテゴリ:
「ひ」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第12巻 / いたずら
公開日:
2018年05月30日

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