のび太のパパは忘れん坊で、ママに頼まれた用事をしょっちゅうやり忘れてしまいます。
のび太がうっかり者なのはこの血筋のせいなのかはともかく、そんなパパにドラえもんが貸してあげたひみつ道具が“わすれ鳥(どり)”です。
ドラえもんのわすれ鳥は、忘れ物を知らせてくれる小鳥型デバイスです。
この鳥を体にとまらせた人がなにか忘れ物をすると、「ワスレタ!ワスレタ!」と鳴きだします。所持品の置き忘れだけではなく、やるべきことをうっかり忘れたときにも反応します。
出かけるとき、玄関を出たらわすれ鳥を手に乗せる。照明や火を消し忘れていないか、戸締りをしたか、必要な物をちゃんと持ったか。そんなもろもろを一発で確認できます。
これは特に、玄関の鍵をかけたか何度も何度も確認しないと落ち着かないタイプの人(1)にとって、大きな助けになるでしょう。
わすれ鳥さえあれば、もう二度と忘れ物はしない――とは限りません。なぜって忘れ物をするのは「忘れ物に気をつける」という注意を忘れてしまったときだからです。
四六時中わすれ鳥を乗せていたら「小鳥さん」みたいなあだ名をつけられて、笑い者になるのがオチです。そのため普段はしまっておいて、随時取り出して使うことになるでしょう。
そしてうっかり忘れ物をするような状態だと、わすれ鳥による確認も忘れがちになるはずです。
常に身に付けるには不向きなデザインなのが惜しまれます。
(1)日常生活に支障をきたすほどの場合は強迫性障害かもしれません。心療内科に相談することをおすすめします。
のび助(のび太パパ)はドラえもんにわすれ鳥を貸してもらったのに、やっぱり用事をやり忘れてしまいました。訪問した家にわすれ鳥を置き忘れてしまったからです。
わすれ鳥自体を忘れてしまうと元も子もなくなります。わすれ鳥をあまり過信するのは禁物です。
忘れ物を予防するだけのひみつ道具に悪用方法などないでしょう。
わすれ鳥が忘れ物を知らせる「ワスレタ!ワスレタ!」という鳴き声はそこそこ大音量です。人のいる所で鳴かれたら、無駄に注目を集めてしまいます。
とはいえそれが忘れ物を探知する未来のガジェットだと一目見ただけで知る由はないし、そもそも忘れ物をしない限りわすれ鳥はうんともすんとも言いません。
知り合いの前で繰り返し使ったりしなければ、秘密は守れるでしょう。
点検作業の漏れが原因となった重大な事故がしばしば起こっています。そういった人為的な見落としの防止対策にわすれ鳥は大きな成果をあげられるでしょう。
しかし社会的に運用するなら、大量のわすれ鳥が必要です。たったの1個だけじゃ、まるで話になりません。
出先にスマホや財布を置き忘れるとか、海外へ行くのにパスポートを持ち忘れるとか……。忘れ物一つでしゃれにならないダメージを受けることもあります。
そんな忘れ物を予防できる機能はもちろん魅力的です。でも小鳥型デバイスが鳴いて知らせるという方式はいかがなものか。腕時計型でバイブで知らせてくれるとかなら文句なしに使えるのに!
まあ、おかしな方式なのはひみつ道具だから仕方がない。というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、わすれ鳥の優先度は星
つです。