もしも「友だちの輪」をもらったら

かわいい女の子に目がないのび太は、近所の家に夏休みで滞在しに来ている美少女となんとしてでも友達になりたいと思いました。

ドラえもんはドラえもんでメス猫に夢中で、ひみつ道具を使ってガールフレンド作りにいそしんでいました。

それなら自分にも使わせてくれ、とのび太がドラえもんに貸してもらったひみつ道具が“友だちの輪”です。

機能と効果

ドラえもんの友だちの輪は、友達をつくる敷物です。これを敷いてその輪の中に人や動物が一緒に入ると、たちまち友情が芽生えます。

その友情は一過性ではなく、友だちの輪から出たあとも続きます。このことから、ある種の一目ぼれを誘発していると推定されます。その後、関係がより深まることも終わることもあるでしょう。

また、能動的に友だちの輪に入ったのび太とドラえもんからは見てとれる心境の変化が現れませんでした。作用を承知していると効力が及ばないと推定されます。

有用性: ★★☆☆☆

「ぼっちは嫌なのに友達ができない」といった悩みを解決するのも、「手が届かない憧れのあの人と友達になりたい」といった願望をかなえるのも、友だちの輪を使えばたやすいこと。

でも、人の心を道具で操って得た友情に、なんの価値があるというのでしょう。どうして友達になりたいのか。それがまっとうな動機なら、まっとうな手段をとるべきです。

それなら動物に使うのはどうでしょう。お迎えしたペットを即なつかせたり、多頭飼いで折り合いの悪い子同士を仲良しにさせたり。友だちの輪は、人と動物とが共に暮らす上の助けになります。

もちろん「人の心を操ることは駄目なのに、動物相手なら許されるのか」という疑問が残ります。その是非がどうであれ、しつけの手段として不誠実なことは間違いありません。

友だちの輪は、有用というと語弊があるひみつ道具です。

危険性: ★★★☆☆

人間関係はトラブルがつきもの。洗脳という強引な手段で友達になった人同士なら、なおさら危うい関係になります。

あまり考えなしに友だちの輪を使うと、厄介なごたごたに巻き込まれる羽目になるでしょう。

悪用度: ★★★★☆

男女の友情は成立する? しない?

友情と恋愛感情の違いは曖昧です。「成立する」と考える人でも、そこに明確な線引きは図れないでしょう。おそらくは友だちの輪で友達になれば、恋人になれる可能性もぐっと高まるはずです。

目的のためなら手段を選ばない人が友だちの輪を手に入れたら、ろくでもない目的に使うのは目に見えています。

とにかく目的がなんにしろ、道具による心理操作で友情を生じさせるなんて許されません。

秘匿性: ★★★☆☆

直径1メートルにも満たない輪の中に一緒に入るという友だちの輪の発動条件は、秘匿性の面でかなり不利に働きます。

とはいえ、ひとたび発動してしまえばこちらのもの。友情で目が曇って、その怪しさは見過ごされるでしょう。

革命度: ★★★☆☆

政治家の「お友達」ならあれやこれやと便宜を図ってもらえて、挙句の果てに黒でも白になることすらある世の中です。

有力者相手に友だちの輪で人脈を広げまくれば、影の権力者、俗にいう「フィクサー」になれるかもしれません。

まとめ

人の気持ちをないがしろにした洗脳をしておいて、なにが友達か本当に友達が欲しいなら、ひみつ道具を使うにしたって、ほかにもっといい方法があります。

というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、友だちの輪の優先度は星0.5つです。

道具名称:
友だちの輪
原作初出:
『ドラえもん』第38巻「友だちの輪」
カテゴリ:
「と」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第38巻 / 人心掌握 / 友達
公開日:
2019年05月22日

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