ジャイアンが武術にハマるたびにのび太はその餌食になってきました。今度は剣道です。案の定、決闘相手に選ばれたのび太がドラえもんに泣きついたところ、貸してくれたひみつ道具が“名刀電光丸(めいとうでんこうまる)”です。
大長編『ドラえもん のび太の大魔境』の作中では、「秘剣電光丸」と呼称されています。
ドラえもんの名刀電光丸は、敵を自動的に倒してくれる日本刀です。
襲ってくる敵の動きをキャッチして、ひとりでに動いて応戦します。 使用者の動作は名刀電光丸がコントロールするため、身体能力を問いません。 これさえ持っていれば、眠っていても勝てます。
日本刀といっても名刀電光丸は刃のない居合刀(模擬刀)です。そのため斬殺することはなく、打撃で気を失わせるにとどまります。
藤子・F・不二雄先生の死後に制作されたアニメ版において「バッテリー式で短時間しか駆動しない」という設定が追加されました。当サイトはF先生による原作漫画を聖典としているため、その設定は考慮しません。
名刀電光丸は鉄壁の護身用品です。抜刀すらサポートしてくれるから、帯刀しているだけで無敵になれます。
けれどこの「帯刀」のハードルが高い。模擬刀か真剣かはパッと見ではわかりません。職務質問は不可避です。
たとえ模擬刀でも携帯する「正当な理由」、要するに警察を納得させる理由がなければ逮捕されます。名刀電光丸が銃刀法の定める「模造刀剣類」に属するか否かは微妙なところとはいえ、すんなりとは解放されないでしょう。
そもそも常に持ち歩く護身用品としては大き過ぎます。なんだかんだで自宅くらいでしか使えません。それでも一人暮らしの女性にとって心強い護身用品です。寝込みを襲われても撃退できるから、卑劣な暴漢から身を守れます。
名刀電光丸は防衛するひみつ道具です。危険どころか身の安全を高めます。
何者かに襲い掛かられない限り発動しないし、居合刀だから相手を切ることもないので、図らずも暴行を加えたり、過剰防衛になる心配もありません。
名刀電光丸は先制攻撃をしません。しかし通常の居合刀としてこちらから打撃を加えることはできます。そして相手が反撃してくれば名刀電光丸が発動します。
相手が木刀を携えた剣道の有段者でもない限り、一方的な滅多打ちとなるでしょう。
とはいえそれは単なる傷害です。自分より腕っぷしの強い相手でも倒せるだけ。普通に逮捕されて終わりです。
人が刀を振るっているのではなく、まさか刀が人を操っているとは、誰も思いもよらないことでしょう。
なんにせよ、居合刀で人をたたくのは大ごとです。時を越えて未来からもたらされたひみつ道具だとバレるか否か以前の問題です。
世界最強の剣豪をもってしても、一振りの居合刀で世界を変えられはしません。それは名刀電光丸でも同じことです。
名刀電光丸は男心、いや男の子心をくすぐります。「名刀(秘剣)電光丸」という名前からして格好いい。中二病っぽい? それがどうした!
でもまあ未来からやってきたドラえもんに「ひみつ道具を一つだけあげる」と提案された際にこれを選ぶ人がいたら、かなり酔狂だと言わざるを得ません。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、名刀電光丸の優先度は星
つです。