ことわざに「なくて七癖」とあるように、大抵の人はなにかしら癖(くせ)をもっています。それが些細なものならいいけれど、のび太みたいに「鼻クソをほじる癖」だったりすると、人前で癖が無意識に出てしまうと恥ずかしい思いをします。
そこで出番となる(かもしれない)ひみつ道具が“くせなおしガス”です。
くせなおしガスのラベル表示には「GU」という文字列が含まれていることが原作漫画の絵で確認できます。しかし「ガス」は英語で「gas」、ローマ字で「gasu」です。
おそらくスペルミスだと思われますが、当サイトでは原作に倣って「GU」のままイラストにしました。
ドラえもんのくせなおしガスは、人に吹きかけるとその人の癖が大げさになるガスを噴射するスプレー缶です。
たとえば「鼻クソをほじる癖」はサッカーボールほどはあろう巨大な鼻クソが出るようになり、「唇をなめる癖」はベロが何倍にも長くなって周囲をなめまわすようになり、「貧乏ゆすり」は地震だと勘違いするほど激しくなります。
効果の持続時間は不明。当サイトでは便宜上、1時間と仮定します。
くせなおしガスはその名のとおり、癖を直すためのひみつ道具です。無意識にやっている癖を気づかせるばかりか、極端に誇張してびっくりさせるという首尾のショック療法です。
どうせなら吹きかけただけで癖が直るほうがいい、と思うかもしれません。けれど自分の意思で克服したほうが人として成長できます。一見バカらしいようで、意外と誠実なひみつ道具です。
問題はくせなおしガスが未来のテクノロジーであること。この効力は現代においてあまりにも現実離れしているので、現象の特殊性ばかりに目がいって、肝心の癖に考えが至らないケースが多いかもしれません。
「癖」とは、好ましくない習慣を主に意味します。ただでさえ癖は人に悪い印象を与えやすいのに、それが誇張されたとなればなおさらマイナスです。人前でくせなおしガスが発動したら、人としての評価を下げられてしまうでしょう。
くせなおしガスが発動した姿はかなりグロテスクです。些細な言動がセンシティブな問題となり得る10代になんの説明もせずくせなおしガスを吹きかけるのは、学校での立場を致命的に悪化させるかもしれない悪行です。
そうでなくても人の癖を勝手に誇張するのは、たちの悪いイタズラといえます。
くせなおしガスの見た目はただのスプレー缶です。また、すこし離れた所からこっそり吹きかけても効果は出ます。
問題は衝撃映像だといっても過言ではないその効果です。癖に関わる体の一部が肥大化するなんてのは、目に焼き付いて一生忘れられない光景でしょう。
そこからくせなおしガスの存在にはそうそう結びつけられないにしても、取っ掛かりにはなります。やはり人前で使うのは控えるべきです。
くせなおしガスの効力は人知を超えた超常現象レベルです。だからといって癖の誇張で社会を変えるすべはないでしょう。
人へ与える印象を改善するために癖を直すのだとしたら、その過程で悪印象を与えてしまうくせなおしガスを使うのは本末転倒というものです。
気が置けない親友などに頼んで、癖が出たら逐一指摘してもらうだけでも(本人にその気があれば)癖は結構直せます。わざわざひみつ道具を使うまでもないでしょう。
というわけで、もしもドラえもんのひみつ道具を一つもらえるなら、くせなおしガスの優先度は星
つです。