もしも「エラ・チューブ」をもらったら

なんの気まぐれか、のび太は海底を歩いて太平洋横断する冒険に一人で挑むことにしました。この挑戦を達成するには、まずは水中で息ができないと話が始まりません。そこで出番のひみつ道具が“エラ・チューブ”です。

機能と効果

エラ・チューブは、水から酸素を取り出すひみつ道具です。鼻の穴に詰めて鼻から息を吸うと、酸素だけが通過して水中で呼吸ができます。処理能力はきわめて高く、地上で呼吸する感覚とほとんど変わりがありません。

有用性: ★★★☆☆

エラ・チューブの活躍の場は、ウォータースポーツ全般にあります。特に親和性が高いのはダイビングです。タンクやレギュレーターに比べてはるかに軽装で水中呼吸ができるエラ・チューブなら、海がより身近な存在に感じられるでしょう。

ただし鼻の穴にエラ・チューブを詰めているので、耳抜きをするのが難しくなってしまいます。水圧を無効化するひみつ道具の“深海クリーム”と併用する前提で設計されているらしく、耳抜きが考慮されていないのが玉に瑕です。

泳げない人が水泳を練習するときにも有用です。水泳の高いハードルになっている息継ぎの練習を後回しにすることによって、初期段階の練習難度を下げられます。結果的に、息継ぎをしながら泳げるようになるまでの期間を短縮できるでしょう。

水恐怖症の克服にも役立つかもしれません。

危険性: ★★☆☆☆

水面に浮上するまで息が続かない水深でエラ・チューブの機能が停止したら……。考えただけで息が詰まります。

しかしエラ・チューブは、故障する可能性を考慮しなくても大丈夫なくらい、信頼性の高いひみつ道具だと思われます。なにせ生真面目で慎重派のドラミちゃんがのび太に貸し与えたひみつ道具なのですから。

また、太平洋を歩いて横断中ののび太が日本海溝に滑落して気絶したときも、正常に機能しつづけていた実績もエラ・チューブにはあります。鼻の穴から不意に抜け落ちる心配もないようです。

だからといって人間が水中で行動する際に生じる危険性がすべてなくなるわけではないことを忘れてはなりません。

悪用度: ★☆☆☆☆

立入禁止のエリアに海中から潜入する。そんなシーンを映画でよく見かけるけれど、通常のスクーバダイビング装備で十分だし、大仰で現実離れしています。エラ・チューブを悪用する現実的な使い道は、一般人では見いだせないでしょう。

秘匿性: ★★☆☆☆

エラ・チューブを用いてプールで息継ぎしないで泳ぎつづけたり、海に潜りつづけたりすれば、当然のことながら周りの人から「水の中でどうやって息をしてるの⁉」と注目されてしまいます。

エラ・チューブ自体は隠せても、人間が水中で呼吸する異様さは隠せません。かといって人目を避けて誰もいない海に潜るのもさみしい話です。秘匿性に関しては痛し痒しのひみつ道具です。

革命度: ★★☆☆☆

ドラえもんが生まれる2112年にはあってもおかしくなさそうなエラ・チューブですが、どうやら実現するのはかなり難しいようです。

水中に溶け込んでいる酸素の量は少ないため、人間が呼吸するのに必要な量を抽出するには、息を吸うたびに大量の水を処理しなければならないのだとか。

鼻の周辺に水流が起こる様子もなく、どこからともなく十分な量の酸素を取り出しているエラ・チューブは、ほかのひみつ道具と同様に人知を超えたテクノロジーが使われているようです。

それでもなお、エラ・チューブが世の中に与える影響は限定的でしょう。人間が水中で自由に活動するために解決しなければならない問題は、呼吸だけではないのですから。

まとめ

ウォータースポーツの楽しさと安全性をぐんと高められるのは魅力的とはいえ、人前で使いにくいのではその魅力も半減します。というわけで、もしもひみつ道具を一つもらえるなら、エラ・チューブの優先度は星1.5つです。

道具名称:
エラ・チューブ
原作初出:
『ドラえもん』第4巻「海底ハイキング」
カテゴリ:
「え」で始まるひみつ道具 / 『ドラえもん』第4巻 / 水中
公開日:
2015年05月06日

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