日本からサンフランシスコまで太平洋を横断。しかも海底を歩いて行く冒険にチャレンジするというのび太をサポートすべく、ドラミちゃんがいくつか貸し与えたひみつ道具の一つが“ま水ストロー”です。
ま水ストローは、海水用のストロー形浄水器です。海水をま水ストローに通すと、飲用に適した真水になって、飲むことができます。
海水に特化した浄水器ですが塩分以外の不純物も当然濾過(ろか)しているはず。不純物の含有量が一般的な海水より少ない水ならば、海水に限らず飲めると思われます。
ま水ストローの有効な総濾過水量については劇中で語られません。当サイトでは、無制限に浄化できるものと仮定します。
日本は水が豊かで飲料水の確保に困りませんから、ま水ストローが活躍するのはなにか災難に遭ったときです。
海水を飲まなければならない状況の筆頭は海洋遭難です。人間は水を摂らないと5日と生きられません。水さえ飲めれば生存期間が何倍にも伸びて、生還確率に雲泥の差がでます。
陸上においても、インフラが機能停止するほどの災害が起これば水道以外から飲料水を得る必要に迫られます。
このような非常時に飲料水を確保する手段としてま水ストローはとても優秀です。
水道水が飲めない途上国でなら、ま水ストローは平穏時でも手放せない必須アイテムとなるでしょう。
なんにせよ日本の日常生活では、ありがたみを感じることはあまりないであろうひみつ道具です。
ま水ストローの浄水能力については、「海水が真水になる」としか説明されていません。どの程度の悪水まで飲めるのかは不明瞭です。食中毒のリスクはゼロではないでしょう。
浄水器のたぐいは悪用しようがありません。
ストロー形の携帯用浄水器は現代にも実在しています。ま水ストローを人に見られたとしても、それが未来の道具だとすぐには気づかれないはず。
しかし、ストローほどの大きさの浄水器をただ通すだけで海水を飲用に適した真水にすることは、現代の技術では考えられません。ま水ストローで海水を飲む場合は、人目を避けたほうが賢明です。
海水を真水にすることは「海水淡水化」と呼ばれています。河川や地下水などから原水を取り入れられない地域では、海を水資源とする海水淡水化プラントが生活用水の確保に貢献しています。
ま水ストローに使われている技術が解析できれば、海水淡水化プラントの効率を飛躍的に上げられるでしょう。世界各地の水不足を解消する大きな一歩です。
解析不可能なブラックボックス的技術でま水ストローが実現されていた場合は、ほとんどなにも世界は変わりません。
もらって困りはしないけど、特別うれしくもなく、ひみつ道具にしてはわくわく感に欠ける感じです。ま水ストローが初登場したエピソード「海底ハイキング」では、紹介されただけで使うシーンがなかったのがその感じをよく物語っています。
一つだけひみつ道具をもらえる場合の選択肢としては物足りないというわけで、ま水ストローの優先度は星
つです。