“動物ライト”は、前回紹介した“せん風機”と同様に、使わずじまいで詳細がわからないひみつ道具です。いったいどのようなひみつ道具なのでしょうか……。
動物ライトを取り出すときにドラえもんは、「じゃ、この動物ライトで先生をゴリラに……」と言っていました。どうやら、人間をいろいろな動物に変身させる光線を出すひみつ道具のようです。
動物に変身させるひみつ道具は、動物ライトよりも先に“動物変身ビスケット”が登場しています。動物変身ビスケットと差別化するため、動物ライトの効果は、動物の姿へ完全に変身して、その動物の特性を得られるものとします。
また、ライト型ひみつ道具の定番である“スモールライト”に倣って、「効果は一定時間で切れる」「効果を即時解除する光線も出せる」という特徴があるものとします。
チーターに変身して陸地を猛スピードで駆け抜け、イルカに変身して大海原を自由自在に泳ぎ回り、ハヤブサに変身して大空を滑空する……。実用性には疑問符がつくけれど、娯楽性は文句なし。非日常を思う存分に味わえるでしょう。
ただし、それ相応の危険性がついてまわります。
空を飛んでいるときに効果が切れたら墜落してしまいます。海を泳いでいるときに効果が切れたら溺れてしまうかもしれません。動物に変身して、自分本来の能力を超えた活動をしているときは、効果時間に細心の注意を払う必要があります。
食物連鎖を考慮に入れないで無暗に変身すると、天敵に捕食されてしまうなんてことも。そして動物にとって最大の敵は人間です。変身した動物によっては、捕獲されたり駆除されるおそれがあります。
いうまでもなく、動物ライトは未知のテクノロジーです。故障などで人間に戻れなくなったら最後、現代のテクノロジーではもうどうすることもできません。
動物に変身することは、すなわち完璧な変装です。変身する瞬間を見られなければ、正体が人間だと喝破されることはないでしょう。オオカミの姿で夜なよな人を襲う人狼になれます。
ネコに変身すれば、ネコ好きな人のプライベートをのぞけるかもしれません。
人を勝手に弱い動物へ変身させれば……怖い怖い。
ライオンに変身して街中を歩けば、当然大騒ぎになります。秘匿性は、変身する動物によるでしょう。そこにいるはずのない動物は基本アウトです。シチュエーションに合った動物を選んだとしても、変身する瞬間を見られれば元も子もありません。
肉体を瞬時に再構成するテクノロジーは革命的です。解析できれば、がん細胞を正常な細胞へ変えることなどに応用できるはず。映画『エリジウム』に登場する“医療ポッド3000”のような、あらゆる病気を瞬時に治療する機器の開発につながるでしょう。若返りすら可能になるかもしれません。
映画『エリジウム』予告編
個人で使う範囲では、人込みで無差別に動物ライトを照射すれば世の中を大きく騒がせられます。革命には程遠い、ただの愉快犯にすぎないけれども。
よく「鳥になって飛んでみたい」とは言うものの、いざ自分の肉体を変形させるとなると、尻込みしてしまうのでは?身体改造はごく一部のマニアの世界。元に戻れるとはいえ、まったく気にせず使える人は、ごく少数でしょう。
動物ライトをもらったとしても怖くて使えないかも。というわけで、優先度は星
つです。